2014年07月08日

大和ハウスの新戦略 買収・出資で「異業種」と協業

テーマ:経済

ニュースのポイント

 住宅大手・大和ハウス工業の会長が、ベンチャー企業への出資と海外での企業買収に積極的な姿勢を示しました。同社は単なる住宅メーカーの枠を超えつつあるようです。ポイントは海外展開に加えて、物流、ロボットなど異業種との連携です。今日の記事を企業研究の進め方の参考にしてみてください。

 今日取り上げるのは、経済面(9面)の「『企業買収 迷わない』売上高増へ 大和ハウス会長」です。
 記事の内容は――大和ハウス工業は、出資や海外での企業買収を加速し、創業100周年にあたる2055年の売上高を現在の約3.7倍にあたる10兆円に引き上げる。とくに海外の売り上げを重視し、現在の約1000億円から6兆円にする計画だ。樋口武男会長が朝日新聞のインタビューに答えた。同社は近年、準大手ゼネコンのフジタやマンション販売のコスモスイニシアなど建設不動産関係の企業を相次ぎ買収してきたが、樋口氏は「さらに買収が必要」と強調。ベンチャー企業への投資も柱の一つで、ロボットのサイバーダイン、リチウムイオン電池のエリートパワーに出資している。海外展開を進める日本の小売業者と協力して海外に物流施設を建てるなど異業種との協業も加速させる。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 大和ハウスといえば、役所広司さんや、リリー・フランキーさんと深津絵里さんが夫婦を演じるテレビCMが印象的ですよね。家をつくるハウスメーカーのイメージが強いと思います。
 
 ただ、同社の事業別売上高を見ると、戸建て住宅が2割弱、賃貸住宅が3割程度で、マンションを合わせても半分強です。同社は、ホームページで「事業概要」を住宅、賃貸住宅、流通店舗、建築、マンション、環境エネルギー、そして海外と、7分野に分けて紹介しているように、幅広く事業展開しています。このうち、成長が見込める海外事業への投資を数倍にする方針です。

 さらに異業種との連携。家電やエネルギー、ロボットなどは、いずれも家や生活に関わる関連業界です。こうした異業種との協業やベンチャー企業買収を進めて売上高を増やす考えです。樋口会長が目標に掲げた2055年といえば41年後ですから、この調子で事業を広げていけば、そのころには全く違う事業がメーンになっているかもしれませんね。

 会社や業界について調べるときには、その会社の事業別売上高の割合や伸び率を見ると、今の主力事業だけでなく、今後力を入れる分野や、意外な業界・業種とのつながりが見えてくると思います。これから業界・企業研究に取り組む3年生のみなさんは、興味を持った会社の関連業界についても調べてみてください。きっと新しい発見がありますよ。

 大和ハウスの記事のすぐそばに、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」が今日、本格始動するという記事が載っています。太陽光発電などによる電気を効率的に使う新たな環境都市で、三井不動産が開発しました。こちらも読んでみてください。

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