2014年06月13日

ボーイング新型機、部品の2割が三菱重工など日本製に

テーマ:経済

ニュースのポイント

 米航空機大手ボーイングの次世代大型機「B777X(トリプルセブンエックス)」の製造に、三菱重工業など日本企業5社が参加します。部品全体の2割が日本製となります。アジアなど新興国の発展で航空機産業が大きくなるのは確実。各社は工場を大きくするなど設備投資を進めており、経済効果が期待されます。

 今日取り上げるのは、経済面(9面)の「B777X新造に日本勢参加/5社で部品の2割/需要にらみ設備投資」です。
 記事の内容は――ボーイングは、2020年の就航を目指す次世代大型機「B777X」の製造に、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業、新明和工業、日本飛行機の5社が参加すると発表した。中型機「B787」に続く動きで、中小企業の航空機産業への参入にもつながりそうだ。777Xは現在の主力機B777をベースに開発中で、航続距離は長く、燃費も大幅に良くなる。2017年から製造を始め全日空(ANA)などに納入される。777Xの日本製部品の比率は21%で787の35%よりは低いが、機体が大きいため各社は工場増設を検討している。ボーイングのライバルで欧州の航空機大手エアバスへの部品供給も増えている。IHIはエアバスの新小型機「A320neo」の部品製造施設を増設。神戸製鋼所は航空機向けの大型チタン部品を作れる工場を日立金属などと共同で建設し、エアバスの次世代機「A350XWB」の脚の部品を受注した。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 日本の空港に行くと、737、767、777、787とボーイング社製の航空機ばかりが目に付くと思います。「ジャンボ」の名前で親しまれた大型機747型は3月に日本の旅客機としては引退しましたが、ANAも日本航空(JAL)もボーイングの機体を多く使っています。ボーイング社によると、現在世界の空を飛んでいる民間航空機の75%にあたる1万2000機が同社製。新規受注ではボーイングとエアバス社が世界の航空機市場を二分していますが、日本ではボーイングが圧倒的に優位です。1980年代の日米貿易摩擦の際、日本が米機購入という「大きな買い物」で摩擦を和らげたという経緯があります。それだけに昨秋、JALがエアバスの最新鋭機「A350」31機購入を発表した際には「脱ボーイング」の動きとして話題になりました。

 航空機生産でもボーイングと日本のメーカーの付き合いは長く、1960年代半ばの三菱重工による747の部品供給に始まり、1978年には767の部品の16%を日本企業が担いました。最新鋭の787は三菱重工が主翼の設計・製造も担当、35%が日本製で「準国産機」とも呼ばれています。日本メーカーの技術力の高さの証しであり、ここへきてエアバスも日本のメーカーとの関係を深めようとしています。

 航空機は自動車の100倍の300万点の部品からできており、裾野が広い産業です。しかも記事にあるように、世界の旅客機需要は今後20年間で倍増すると予想され、経済産業省の見込みでは現在1兆円規模の日本の航空機市場が2020年までに2兆円に伸びる有望産業なのです。軽い炭素繊維も使われるため素材メーカーにも商機です。エアラインをめざす人だけでなくメーカー志望の人も航空機に注目です。搭乗するときには、その機体に日本企業がどう関わっているか考え、各メーカーのホームページなどで調べてみましょう。

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