2014年04月22日

【GD対策】子ども産む数に目標、あなたは賛成?反対?

テーマ:社会

ニュースのポイント

 少子化にブレーキをかけるために出生率(「しゅっしょうりつ」または「しゅっせいりつ」)の数値目標を掲げるべきかどうか――政府の有識者会議が検討を始めました。「人口減少を食い止めるために必要だ」「産む、産まないという個人の選択に国が無言の圧力をかけることになりかねない」などの賛否両論があります。あなたは賛成ですか? 反対ですか?

 今日取り上げるのは、総合面(2面)の「時時刻刻/何人産むか 目標必要?/『出生率2.07回復』政府会議が検討開始/働く世代減少に危機感/『無言の圧力』懸念の声」です。
 記事の内容は――21日、内閣府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」で、出生率の数値や年間出生数の目標を定めるべきだという意見が相次いだ。「産まないという権利の尊重は大事」との慎重論もあり議論を続けることになった。きっかけは政府の経済財政諮問会議で「2020~30年に合計特殊出生率を人口規模が均衡する2.07まで回復させ、50年後も1億人の人口規模を保つ」という目標が提案されたこと。安倍首相も森雅子・少子化担当相に「目標のあり方を含めて検討を」と指示した。出生率が今の1.4程度のままでは、50年後には人口が今より3割少ない8000万人台半ばに落ち込む見通し。少子高齢化と働く人の減少は、年金や医療など社会保障の弱体化や経済の低迷を通して、さまざまなひずみを社会にもたらすためだ。
 一方で、産みたくても産めない人や、産まない選択をした人に無言の圧力が社会に広がることを心配する声がある。都道府県レベルでは10余県が数値目標をすでに掲げているが、出産・子育ては個人の生き方や心情に深くかかわるだけに各国の対応は様々だ。韓国は目標数値を掲げているが回復は小幅。出生率を急回復させたフランスやスウェーデンは目標値を掲げていない。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 出生率は、1人の女性が生涯に産む子どもの数。記事のグラフを見ると、出生率が今のままだと、人口も生産年齢人口も減少することが一目で分かります。このままなら、生産力は減り、生産活動が停滞し、経済成長が難しくなるでしょう。だから成長を維持するためには、出生率が回復して人口が増えるのが望ましいという考え方は多くの人に共通しています。ただ「産む産まない」は、個人の選択で人に強制されるものではありません。戦前に政府が富国強兵のため国策として「産めよ増やせよ」を強要した歴史への反省もあります。今日の記事で、目標設定に賛成する上智大の鬼頭宏教授は「『産めよ増やせよ』の過去からアレルギーがあるが、あの時のように一律に女性に強制するのとは違う。目標が達成できれば社会が安定するというメッセージとして伝えることが大事だ」と主張。これに対し、反対の荻野美穂・元同志社大教授は、政権が強制ではないと言っても「出生率の具体的な数字を挙げれば、多くの人は『女性は1人につき何人産め』というメッセージとして受け取る。『義務を果たしてない』と言われた気持ちになる人もいるだろう」と語っています。個人の尊厳にも関わる問題なのです。

 一方で、世界に先んじて急速な高齢化が進む日本は、もう成長を追い求めず、少子高齢社会を前提にした「成熟社会」を目指すべきだとの考え方もあります。そもそも人口が減ったっていいじゃないか、という考え方です。

 今日の記事の最後で白波瀬佐和子・東京大院教授はこう語っています。「重要なのは目標より改善の手段。女性が子を産み、育てながら働き続けられるような企業・社会の環境整備や、経済的な不安を抱えているために結婚できない人の状況をよくすることが先だ」。貴重な意見です。

 テストの問題とは違い、世の中の多くの問題には正解がありません。この問題もそうです。でも、問題に対する自分の意見をもつことは、生きていくうえで大切です。採用試験の面接やグループディスカッションでも、こうした正解のない問題は格好のテーマになります。賛否を考えるには、新聞記事などで何が問題なのか物事の背景を知り、いろんな意見、考え方に触れることが必要です。さらに大事なのは、問題をひとごととして論じず、自分に引きつけて考えることです。数値目標の対象はみなさんの世代です。「私が当事者ならどう思うか」を考え、「子どもがほしくてもなかなかできない知り合いがいて……」など、身近な具体例を思い出すと、考えを言うときに説得力が出てきますよ。

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