2014年03月31日

「学歴フィルター」の現実 どう考える?

テーマ:教育

ニュースのポイント

 新連載「教育2014 学歴は変わるか」が始まりました。就活で学歴を意識した人もいるでしょう。学歴社会の意味と変化の兆しを報告する記事をもとに、就活においてどう受け止めるべきかを考えます。

 今日は30日1面「これって、学歴フィルター?/採用説明会…『満席』」と、2面の「採用戦略 企業手探り/トップ校学生紹介、人気/『人より遠回り』評価も」を取り上げます。
 記事の内容は――日本大学の女子学生が昨年12月、人気企業の採用説明会参加申し込み画面を開始時間に開くと全日程が「満席」だった。上智大の友人に聞くと満席になっていないと言う。「これって、『学歴フィルター』?」。学歴フィルターは専門家によると、説明会定員100人に対し、80人を東大などトップ校、残り20人を他大生に割り振るなど、大学によって差をつけることだ。1990年代後半からマイナビ、リクナビなどの就職情報サイトが登場し、誰でもどんな企業にでも簡単に接触できるようになり人気企業には万単位の学生が殺到。そこで、選考の手間を省くため学歴フィルターを使う企業が出てきた。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活のポイント

 かつての就活では、人気企業は大学を選別して入社案内などを送っていたため、企業に接触することすらできない学生が多くいました。2000年代になって就職情報サイトが普及し、すべての学生が同じ企業情報に平等に接することができるようになりました。一方で人気企業には数万人のエントリーが集中し、効率的に選考するために学歴を重視する企業が再び増えてきたのです。

 「表向きは平等と言いながら、裏で大学によって差をつけるなんてひどい」「チャンスも与えられないなんて不公平だ」と思う人も多いでしょう。でも、そもそも企業の採用試験は「我が社で活躍してくれそうな人」というあいまいな基準による選考です。大学入試と異なり筆記試験の高得点者を順番に採用する企業はありません。必ずしも公平ではなく、ときに理不尽なことが行われる世界なのです。2面に企業の人事担当者の声が載っています。「受験勉強をくぐり抜けてトップ校に合格した学生は、自分を律して勉強を続ける能力がある。それは入社後も使えるし、一定の評価をするべきだ」「トップ校に、採りたいと思う学生がいる確率が高いのは確か。採用の効率を考えたら学歴による選抜は合理的だ」。学歴・偏差値もひとつの評価基準として存在しているのは間違いありません。

 学歴フィルターを設ける企業は、その基準を事前に明らかにしてほしいと思います。さらに言えば、今の企業の採用選考、つまり今の就活にはさまざまな問題があります。課題や問題点を考えることは大事ですが、今みなさんがやるべきことは、今のシステムの中で、納得のいく就活をして結果を得ることです。1月28日にこの欄で書いた「『コントロールできないことは気にしない』松井、イチローの言葉を就活に生かす」を読んでみてください。学歴フィルターで落とされたと思っても、落ち込んでいる場合ではありません。すぐに気持ちを切り替えましょう。

 大学のキャリアセンターなどで自分の大学の先輩の入社実績を調べてみるのも参考になりますよ。また、実績がない企業だからといって諦める必要もまったくありませんが、簡単に入れる企業ではないという現実は知ったうえでチャレンジしてください。うまくいかないときには、志望企業の選択肢を広げてみましょう。

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