2014年03月20日

新卒も募集 ユニクロが「地域限定正社員」大幅増!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 ユニクロを運営するファーストリテイリングが、パートやアルバイトの半数以上を、働く店や地域を限った「地域限定正社員」にすることを決めました。新卒採用でも募集します。非正社員よりも雇用が安定し待遇も良くなりそうです。「限定正社員」が今後一気に普及するきっかけになるかもしれません。ただし課題もありそうです。

 今日取り上げるのは、1面の「ユニクロ、1万6000人 正社員化/パートとアルバイト/『地域限定』人材確保狙う」です。経済面(11面)にも「正社員化 期待と不安/雇用安定 政権も後押し」関連記事があります。
 記事の内容は――ファーストリテイリングは、ユニクロの国内店舗で働くパートやアルバイト計約3万人のうち1万6000人を地域限定正社員にする。勤務条件はこれから詰めるが、長期雇用や賃金アップが見込める。本人の希望や適性をみて雇い、新卒や中途採用でも募集する。同社には正社員登用制度はあったが、正社員は勤務時間が長く転勤もあるため希望者が少なかった。地域限定正社員は、遠距離の転勤はなく勤務時間が短くてもよい。子育て中の主婦らを働きやすくし、幅広い層で優秀な人材を確保するねらい。地域限定正社員が急増するが、同社は一人一人の雇用期間が長くなって採用や教育にかかる費用を抑えられるため経費は大幅には増えないとみている。小売業界を代表する同社が従業員の待遇改善に動けば、ほかの企業にも広がる可能性がある。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 現在、ユニクロで働く人のほとんどはパート・アルバイトで、正社員は「地域限定」を合わせても3400人しかいません。これを2万人近くに増やすというのが今回の決定です。一般的にパートやアルバイトなどの非正社員は、半年や一年ごとに雇用契約を会社と結ぶことが多く、契約を打ち切られる「雇い止め」の不安もあります。これに対し、限定正社員は雇用期間の定めがないので、長期間安定して働くことが期待できます。賃金水準は正社員の8割程度とされ、交通費も出ますし、社会保険も安心です。具体的な賃金水準や勤務時間の詳細はこれから詰めるのでまだ分かりませんが、思い切った方針転換には違いありません。経済面(11面)のグラフも見てください。

 厚生労働省によると、限定正社員は正社員300人以上の企業の半数以上ですでに導入されています。背景には、仕事と家庭が両立する職場でないと良い人材を確保しにくくなっている事情があり、運輸や福祉、小売業界などで目立っています。ユニクロも、魅力的な国内店舗の運営には優秀な人材の定着が欠かせないと判断して、今回の方針を決めました。

 限定正社員制度は、安倍政権も普及を目指しています。働き手の4割にのぼる、不安定な非正社員の広がりを抑えるためです。ただ、契約で定められた仕事内容や勤務地がなくなると正社員よりも解雇されやすいという心配も指摘されています。今の正社員を限定正社員に「格下げ」して人件費を減らそうという企業も出るのでは、と警戒する声もあります。

 働き方は様々です。いわゆる「総合職」的な正社員として、バリバリ働きたい人。できれば長く同じ会社で働きたいけれど、家族の事情などで転勤はせず地元に居続けたい人。まずは就職してビジネスを覚え、いずれ独立しての起業をめざす人……。人それぞれのライフプランに合った働き方、職場を選びたいものです。地域にこだわる人は、「限定正社員」という選択肢も考えてみてはどうでしょう。

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