2014年02月26日

「ポッキー」の強さ 商品にかける企業のこだわりを知ろう

テーマ:経済

ニュースのポイント

 江崎グリコの「ポッキー」は発売から50年近くたった今でも、新商品の開発や海外への進出など進化しています。細長いスティックにチョコをコーティングしただけの一見シンプルなお菓子ですが、「アナログの力」がロングセラーの秘訣のようです。

 今日取り上げるのは、オピニオン面(18面)の「記者有論/ポッキー 『細い体』に込めたアナログ」です。
 1966年の発売以来愛されてきたポッキーは、値段を5倍にした高級版発売や東南アジア進出など進化を続ける。江崎グリコグループの岡本浩之広報部長は「ポッキーには、まねされないノウハウが詰まっている。『アナログ』は強い」と言う。スティックは工場の従業員が朝、気温や湿度を確認し、まっすぐムラなく焼き上げるために生地を焼く温度を微調整する。インドネシアで現地メーカーの類似品を食べてみたが、ぱさぱさで食べるとぽろぽろ。「おいしく、安く」を熟練の職人技が支えていることを実感した。
 「アナログ」とは何か。岡本さんは2年前まで三洋電機でデジタル家電の世界競争のまっただ中にいた。三洋は一時リチウムイオン電池で世界の先頭を走っていたが、あっという間に中韓のライバルに追いつかれた。デジタル家電は基幹部品をつなぎ合わせれば、経験の蓄積がなくてもそれなりのものを作ることができる。だからこそ数値に表しにくい「アナログ」が大切だ。ポッキーは真夏でも溶けにくいチョコ、女性が好む細さを追求したスティックなど、一つひとつのこだわりを最良の組み合わせにして作られている。日本の製造業の生きる道を示している。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 今日の記事のもとになったのは、1月22日から25日にかけて経済面で連載した「けいざい伸話/ポッキーの挑戦」です。新商品の開発手法、マーケティング、PR戦略、海外進出など、ポッキーの新たな展開を紹介しています。江崎グリコの社風も伝わる記事です。連載の1、2回目は下にリンクを貼りました。3、4回目は朝日新聞デジタルで検索してみてください。ポッキーについては、1月20日の「味の素とポッキーのアジア進出物語」でも取り上げています。食品業界をめざす人はこちらも読んでみてください。

 デジタル家電の世界では日本企業の苦戦が続いています。テレビやスマートフォン、パソコンは韓国、中国、台湾のメーカーの価格競争に敗れ、ソニー、パナソニック、シャープなどが撤退したり事業を大幅縮小したりしています。記事に出てきた三洋電機は経営不振でパナソニックに統合されました。グローバル競争の中で生き残るには、「まねされにくい」こだわりの技術が大事だということがわかります。今日の記事には「家電でも洗濯機などの『白物』が競争力があるのは、汚れを効率的に落とす水流といった工夫があるからだ」というくだりがあります。食品にしても、家電にしても、こうしたきめ細やかな工夫は日本の企業が得意な分野です。めざす企業の代表的な商品について、ホームページなどでこだわりを調べてみてください。企業研究が深まりますよ。

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