2014年01月31日

「ニコ動」ドワンゴの入社受験料に賛否

テーマ:就活

ニュースのポイント

 「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが、入社試験を受ける首都圏の学生に受験料2525円の支払いを求める制度を始めました。志望度の低い大量のエントリーを防ぎ、本気の学生だけに受けてもらうためです。WEBで気軽にエントリーできる今の就活のあり方に一石を投じる試みですが、賛否両論が出ています。

 今日取り上げるのは、社会面(37面)の「ニュースQ3/ニコニコ払える? ドワンゴが入社受験料2525円」です。
 記事の内容は――2525円は「ニコニコ」とかけて決めた。支払いを求めるのは東京、埼玉、千葉、神奈川に住む就活生で、交通費がかかる地方在住者は免除した。受験料は全額、奨学金を扱う団体などに寄付する。同社の川上量生(のぶお)会長は「就職情報サイトの利用で、学生は容易に100社以上もエントリーシート(ES)を出せるが、企業にはお金と時間の無駄だし、大量に落ちる学生も心に傷を負う」と強調。同社の今春入社の新卒採用では内定者54人に対し1万7000人のエントリーがあったが、今年1月上旬時点のエントリー数は前回の半分程度で受験料導入の効果がみられる。学生の意見は「エントリー前に一度考えることができ、受けたい企業が絞れる」「嫌なら受けなければいいだけ」「他企業に広がれば、お金が払えないから受けられないということになりかねない」と賛否が分かれ、専門家の評価も割れている。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 今の就活は、WEBで多くの企業にエントリーできるため、有名企業には数万人のエントリーが集中→企業は丁寧な選考ができずWEBテストなどで足切りする→大半は落とされるため学生は多くの企業にエントリーする――という悪循環に陥っています。ドワンゴの受験料は、ハードルを設けることで悪循環を断ち切ろうという試みです。川上会長は、昨年の12月19日のオピニオン面「大学のシューカツ支援」のインタビューで「一つ一つの会社に思い入れがないから、志望理由をはっきり言えない学生が激増した。限られた数の企業しか受験できない地方の学生が、極めて不利になった」と語り、その結果、企業の採用基準が画一化し、出来合いの適性検査や短時間の面接で似た学生ばかり採用されるようになったと指摘。「ある学生が10社も20社も内定を取る一方で、100社受けても全滅する学生がいる。それって絶対おかしい。人間は一人ひとり不ぞろいな能力を持っている。それを認め、生かす世の中にしないと、全員が幸せになるなんてありえない」とも言いました。「だから受験料を取る」ことについては賛否があるでしょうが、もっともな意見だと思います。

 志望度の低い大量エントリーに悩むのはドワンゴだけではありません。電通のESには「廃校になった小学校の使い道」「おみくじに代わる正月の慣習」などのアイデアを書かせる項目があります。この狙いについて採用部長の真道哲哉さんは「人事のホンネ 第8回」で、「エントリーの課題はコピペできない内容にしています。本気じゃないと書けないようにややこしく」と話しています。ESにその企業ならではの難易度の高い項目を盛り込んで、ふるいにかける企業が増えているようです。

 ただ、就活のシステムがいかにおかしくても、みなさんはそれに対応しなければなりません。プレエントリーしないと会社説明会にも出られないので、プレエントリーは50~100社すべきでしょう。ただその後、ESを提出する本エントリーはそんなにはできません。電通のような特異な項目がないからといって、志望動機をコピペすれば、プロの採用担当者にはすぐわかります。憧れだけの「記念受験」は時間と労力の無駄です。みなさんが今やるべきことは、ある程度本気でESを書ける、つまり実際に働きたいと思える企業を20~30社探すことです。最低それくらいはESを出しておかないと、いずれ持ち駒がなくなりかねません。その際には、複数の業界から選ぶ、有名大企業だけにこだわらずに中小・中堅企業にも目を向けることも大切です。

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