2014年01月24日

都知事選きっかけに原発や自然エネルギーを考えよう

テーマ:政治

ニュースのポイント

 東京都知事選が告示され、16人が立候補しました。2月9日の投開票日に向け、原発、東京五輪、防災、福祉などで論戦を繰り広げます。中でも東京都民だけでなく国民みんなの暮らしに関わるのが「原発ゼロ」の是非です。都知事選を機に原発の是非やエネルギーのあり方を自分の問題として考えてみましょう。

 今日取り上げるのは、1面トップの「首都の陣 国政左右/『信認』狙う政権 『原発ゼロ』に対抗」、総合面(2面)の「多様な争点 首都舌戦/原発 再稼働の是非 違い鮮明」ほか、各面の都知事選関連記事です。
 2面記事の原発に関する部分は――細川護熙(もりひろ)氏は「一刻も早く原発の再稼働を止める」と第一声で「原発ゼロ」を強調。宇都宮健児氏も「東京電力の株主として、柏崎刈羽原発の廃炉を提案する」。これに対し田母神俊雄氏は「原発を使わずに十分な電力は供給できない」と訴えた。原発ゼロの是非で論戦が交わされるのは、東京が電力の最大消費地で、国の原発政策に影響を及ぼす可能性があるから。「長期的に原発依存はなくすが、すぐゼロにするのは問題」との立場の舛添要一氏は、第一声で原発に一言も触れなかった。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 エネルギー政策は国の政策だから都知事選の争点にするのはおかしい、という意見もありますが、東京は日本の電力の1割以上を使う大消費地です。しかも遠くの自治体の原発に頼ってきました。東京が原発にどう向き合うのかが都知事選の争点になるのは自然なことだと思います。東京電力福島第一原発事故による放射能汚染。さらに国内の原発がすべてストップし、節電に取り組んだことから、原発を身近な問題と感じた人も多いのではないでしょうか。

 昨日の1面コラム「天声人語」は沖縄の米軍基地問題を論じたうえで、こう書きました。「東京都知事選で原発が争点になるのもおかしくはない。リスクを地方に押しつけているという点で基地と同じ構造である。しかも、ひとたび事故が起これば被害はどこにでも及びうる。基地と原発には、どの地域も当事者意識を持つべきなのだ」。安倍首相も「エネルギー政策は東京都だけではなく、国民みんなの課題だ」と言っています。都民も都民でない人も、自分の問題として考えましょう。

 主な候補者の原発に関する政策は、2面に一覧表が出ています。以下に抜粋します。
◆宇都宮健児(うつのみや・けんじ)氏(67)=原発の再稼働や輸出を認めない。
◆ドクター・中松(なかまつ)氏(85)=21世紀の全く新しいエネルギーシステムを構築する。
◆田母神俊雄(たもがみ・としお)氏(65)=安全性を確保しながら使う。原発は経済成長には必要だ。
◆舛添要一(ますぞえ・よういち)氏(65)=長期的には原発依存体制はなくしていく。
◆細川護熙(ほそかわ・もりひろ)氏(76)=再生可能エネルギーを成長産業にし原発ゼロの成長戦略を。
◆家入一真(いえいり・かずま)氏(35)=脱原発の気持ち。原発をなくすために話し合う。

 原発やエネルギー政策のあり方は、企業にも大きな影響を及ぼします。東京電力、関西電力などの大手電力会社にとっては原発を再稼働できるかどうかが経営を直撃しますし、原発メーカーである日立製作所、東芝、三菱重工業も当事者です。一方で再生可能エネルギーに関わる企業もたくさんあります。太陽電池を生産するシャープ、京セラ、パナソニック、メガソーラーを展開するソフトバンクなどが有名ですが、成長産業となればさらに多くの企業が参入してくるでしょう。志望企業の事業展開を研究、再生可能エネルギーとの関わりについても調べてみましょう。

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