2014年01月22日

商社志望者も必見!「シェール革命」で潤う日本企業はどこだ?

テーマ:環境・エネルギー

ニュースのポイント

 「シェール革命」って知っていますか? 米国で割安な石油や天然ガスがとれるようになり、世界の産業やエネルギー情勢に大きな影響を与えています。日本が米国からシェールガスを輸入し始めるのは2017年以降ですが、ガスの掘削機器やさまざまな関連事業で売り上げを伸ばす日本企業があります。シェール革命と日本企業の関係を調べてみましょう。

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「シェール特需、日本にも/メーカー恩恵 米ガス関連投資に参加」です。
 記事の内容は――シェール革命の恩恵が日本企業に広がっている。ガス掘削機器の売り上げが伸びているほか、米国で拡大するガス関連投資に日本企業が参加する例もある。新日鉄住金の和歌山製鉄所は、米国でのシェールガス採掘に使うシームレスパイプ(継ぎ目なし鋼管)の受注でフル生産が続く。化学メーカーの信越化学は、米国子会社で生産している塩化ビニールのコストが下がり利益が急拡大した。原料の天然ガスの価格がシェール革命で下がったためだ。住友商事は米国のエネルギー関連企業と協力し、日本企業のシェールガス関連事業進出を後押しすることを決めた。シェールガス田の権益を持ち、ガスの生産から原料や燃料としての利用まで幅広く関わる三井物産は、化学工場やガス保管タンク建設、火力発電所運営などに乗り出した。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 シェールとは、地下深くの頁岩(けつがん)という岩盤層のこと。2000年代に入り、ここに含まれる石油(シェールオイル)や天然ガス(シェールガス)を低コストで採掘する技術が確立して生産が本格化しました。頁岩層は米国では国土全域に広がり、「掘れば出てくる」も言われます。米国の天然ガス生産量は09年にロシアを抜いて世界一になり、米国では製造コストが下がったため「製造業の復活」が叫ばれています。シェール革命は、世界のエネルギー生産地図が大きく変わることから「世界地図を塗り替える」と言われたり、さまざまな産業に影響が及ぶことから「産業革命に匹敵する」と言われたりすることもあります。

 当然、日本にも大きな影響を及ぼします。日本は世界最大の液化天然ガス(LNG)輸入国です。天然ガスは、国内の火力発電の燃料に使われるほか、都市ガスや化学産業の原料にもなり、私たちの日常生活に密接に関わるエネルギーです。福島の原発事故後は、LNG輸入量が増え、貿易赤字が増大する大きな要因にもなっています。今は中東などからの輸入が中心ですが、割安の米国産の輸入が始まれば調達コストが下がると期待されています。

 今日の記事は、そのシェール革命と日本企業の関わりについて紹介しています。シェールガスの掘削には大規模な設備が必要なため、周辺設備や資材に日本企業のチャンスが広がっています。
住友商事、三井物産、三菱商事などの総合商社は、ガスの権益確保、化学工場、保管タンク建設、火力発電所運営などさまざまな事業への投資を進めています。
 中国メーカーとの厳しい価格競争をしている鉄鋼業界ですが、シェールガス掘削に必要な高性能パイプは日本のメーカーの得意分野。通常品の数倍の価格で売れ、相場も安定しています。新日鉄住金のほか、JFEスチールも米国のグループ企業の生産能力を高めることを決めました。
 このほか、ガスをLNGにするためのプラント建設ではプラント大手企業、掘削機では工作機械メーカーに活躍の場がありそうです。LNG運搬船の発注も増えているといい、造船メーカーにもチャンスです。

 ガス掘削の機器やサービスの市場規模は約40兆円と言われます。志望業界や企業がシェール革命にどう関わっているのか、これからビジネスチャンスがあるのか、企業研究の一環として調べてみてください。

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