2013年12月12日

大豆は世界を救う?製薬・食材メーカーの挑戦

テーマ:経済

ニュースのポイント

 「大豆は世界を救う」を掲げてスナック菓子「ソイカラ」を開発した大塚製薬と、新技術を開発し「世界で唯一の総合大豆食品メーカー」を自任する不二製油。こうした企業のチャレンジを紹介する記事からは、企業理念、業界事情、新商品開発ポイントなど多くのことが学べます。

 今日取り上げるのは、昨日始まった経済面の連載記事「けいざい新話 大いなる豆」です。「①ソイは投げられた/徳島発 大豆で世界を救いたい」(11日9面)、「②ワケあって 乳業にも負けん」(12日9面)です。
 記事の内容は――①病を治す薬だけでなく病を防ぐ食を伸ばそうとしてきた大塚製薬は、栄養豊富で「畑の肉」とも呼ばれる大豆に目を付けた。大豆の粉でつくったさやに粒が入るスナック菓子「ソイカラ」には大豆50粒分の栄養が詰まる。韓国の人気グループ「KARA(カラ)」のCMもあり業界注目の商品に。大塚は世界の健康問題という壮大なテーマを意識し、大豆(soy)で問題を解決(solution)する「Soylution(ソイリューション)」チームも設けた。大豆の粉を棒状に焼き上げた「SOYJOY(ソイジョイ)」は米中など11の国・地域で売り、大豆の炭酸飲料「SOYSH(ソイッシュ)」も出した。
 ②油を搾ったり、がんもどきなどの加工品をつくったり、大豆と半世紀もつきあってきた不二製油。11月、東京・品川のホテルの宴会場で、ごまだれ麺、ドレッシング、抹茶ロールケーキなど大豆からつくったメニューや食材を提案した。強調したのは「世界初」の新技術。大豆に水を加えて加工処理し、低脂肪の豆乳と、こくのある豆乳クリームに分ける。豆乳クリームはアイスや食材に採用され始めた。「大豆は栄養不足にも肥満解消にも生かせる。大いなる豆だ」と語る清水洋史社長は、世界的な和食への注目に乗り事業拡大を狙う。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 記事からは、担当社員の思い、新商品や新技術の開発過程がわかるだけでなく、大塚製薬、不二製油がどんな理念を持つ会社なのか、社内の雰囲気も含めて伝わってきます。両社とも、和食に欠かせない大豆という食材に大きな可能性を見いだし、世界も視野に事業展開を考えているのです。企業理念や事業の概要は企業のホームページに出ていますが、こうした記事を読むことで、より深く、あるいは豊かに会社をイメージできるようになると思います。志望企業の記事は見逃さないようにしてください。

 大豆に取り組む両社のキーワードは「健康」と「栄養」です。国内はもちろん、これからの世界の医療、食糧問題を左右する大きな課題です。一方で、日本の大豆の自給率は他の品目に比べはるかに低い8%(2012年度、農水省資料から)。遺伝子組み換え問題もあります。大豆の話題は、日本の、世界の農業、食全体にも広がる大テーマでもあるのです。製薬会社、食品メーカーだけでなく、商社などさまざまな業界のビジネスに関連があります。志望業界に引きつけて、志望動機や「業界の将来像」などを考えておきましょう。

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