2013年12月04日

iPS細胞の普及は保険会社にかかってる⁉

テーマ:医療・健康

ニュースのポイント

 iPS細胞などを使った再生医療の普及に向け、経済産業省が損害賠償保険や医療保険を充実させることを検討し始めました。最先端の医療が実験室から出て実用化する際には、民間の保険がなければ前に進みません。今日は、iPS細胞をテーマに損害保険や生命保険の役割を考えます。業界研究、企業研究に役立ててください。

 今日取り上げるのは、経済面(6面)の「再生医療 保険整備へ/経産省が研究会/リスクや責任 議論」です。
 記事の内容は――経産省がiPS細胞などを使った再生医療普及に向けて、損害賠償保険などを充実させる検討を始めた。再生医療の多くは安全性や有効性が十分に分かっておらず、従来の医療にないリスクがある。経産省は保険会社や医師らと研究会を設置、保険の設計に必要な情報を年度内に報告書にまとめ、商品づくりを後押しする。再生医療で扱う細胞は、医薬品と比べて品質が不均一なうえ安全性の評価も難しく、副作用や不具合が予想される。11月に成立した再生医療法は、患者に健康被害が起きた場合の補償を医療機関に求めており、保険の整備を求める声が上がっていた。研究会では、細胞の培養や運搬に問題があった場合など、考えられるリスクについて情報を整理し、責任分担や委託契約の在り方を議論する。治療費が高額になるとみられるため、患者向けの医療保険についても検討。民間保険でどこまでカバーできるか企業に聞き取りする。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 iPS細胞でノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授は「iPS細胞はまだ1人の患者も救っていない」と述べています。再生医療による治療を待ち望んでいる多くの患者さんを救うには、医療の実験だけでなく、新たな治療で問題が起きたときに金銭的な補償をする保険の仕組みも必要なのです。民間の保険会社の出番です。

 先日「人事のホンネ」のインタビューで、東京海上日動人事部人事・採用グループの横山功介課長は、損保会社の役割について「新たな事業には必ずリスクがある。保険会社がリスクを補償することで初めて新しい事業、産業を始められるのです」と説明してくれました。損害保険は何か問題が起きたときに補償する仕組みです。この仕組みがなければ、自動車は走らず、飛行機もロケットも飛ばず、工場は建てられず、エネルギーの開発もできないのです。今回は、医療機関が再生医療という未知の分野に乗り出すにあたって、新たな損害保険商品が必要になるという話です。これがなければ、治療ができません。損害保険が世の中をリードする役割を担っていることがわかります。

 一方で、治療を受ける患者にとっては、高額な治療を受けることになるため、新たな医療保険も必要になるかもしれません。患者向けの医療保険は生命保険会社の役割です。損保と生保の分担や役割の違いも、この機会に整理してみましょう。

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