2013年10月30日

「3年で3割退社」 原因は就活のやり方にあり⁉

テーマ:就活

ニュースのポイント

 大学を卒業して就職した若者の3割が3年以内に辞めてしまう――厚生労働省による離職率の調査結果が発表されました。せっかく苦労して就職したのに、もったいないですよね。多くの場合、原因は入社後だけではなく、就活の仕方にもありそうです。

 今日取り上げるのは、経済面(7面)の「大学新卒の3割、3年以内に退社/厚労省調べ、2010年3月卒対象」です。
 記事の内容は――2010年3月に大学を卒業して就職した若者のうち、3人に1人が3年以内に辞めたとの推計を厚労省が発表した。雇用保険で追跡できる36万5000人を調べたところ、11万人超が3年以内に退職。全体の離職率は31.0%で、前年の28.8%を上回った。業種別では、宿泊や飲食業がもっとも高く2人に1人が離職、教育・学習支援や生活関連・娯楽も半数近くが辞めていた。電機・ガス・水道は離職率が1割弱にとどまり、製造業も17.6%と平均を下回った。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 新卒で就職した人の3年以内の離職率は、ざっと中学卒7割、高校卒5割、大学卒3割の「七五三」と呼ばれる状況が続いています。個々に見ると、大卒の離職率は2004年卒の36.6%をピークに減少傾向にありましたが、今回は上昇に転じました。リーマン・ショック後の「超氷河期」と呼ばれた就職難の世代で、規模の小さい企業や、離職率の高い業種への就職割合が高くなったことが考えられるといいます。

 朝日新聞が今春実施した主要100社調査でも、新卒正社員の3年以内の離職率を聞きました。大手企業ばかりなので、離職率ひと桁という企業が大半でしたが、業種別にみると、製造業や電力・ガスなど技術系を多く採用する企業は低い数字でした。選考時に研究内容と入社後の配属をすりあわせて「ミスマッチを減らしている」(三菱重工業)といった効果が出ているようです。事務系が中心の企業では、食品や商社が低く、小売りや外食は高め。流通業の担当者は「商品開発を目指して入社してくるが、まずは店で経験を積まないと客の要望は分からない。そこにギャップを感じるのでは」と話しています。ただ、優秀な人ほど早く独立して起業するという業界もありますし、離職率の高低だけで企業の善し悪しを判断できるわけではありません。

 会社を辞める理由は人それぞれ。ステップアップしたい、起業のためという前向きなケースもあるでしょうし、長時間労働、賃金水準が低いといった待遇面の不満、人間関係、「思っていた仕事と違う」「海外に行けると思ったのに」など自分の理想とのギャップを感じて、という人もいるでしょう。初めて社会に出るみなさんですから、仕事は実際にやってみなければわからないし、入社して初めて気づくことだらけなのは、ある意味で当然です。いったん入社したからには、ある程度は与えられた環境の中で頑張ることが自分の成長にもつながります。

 それでも、就活中の企業研究でわかることもあります。企業の採用ホームページや会社説明会は、企業がみなさんにPRする場ですから、「いい顔」ばかりを見せます。各企業の社風や勤務の実態などは、社員に直接会って話を聞かなければ絶対にわかりません。紙やウェブで基本資料に目を通したあとは、OB・OG訪問で社員に会う、インターンなどで会社を自分の目で見る、会社説明会で社員に直接話を聞くなどして、自分で会社を見極める努力をしてください。若者を使い捨てにするブラック企業を除けば、若者の早期退職は企業にとっても大きな損失です。多くの企業では、懇談会形式の説明会を開くなどミスマッチをなくすことに腐心しています。こうした機会を逃さず、1人でも多くの社員に会って、会社を肌で感じてください。

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