2013年10月09日

調べてみよう ノーベル賞に日本企業の貢献あり

テーマ:科学技術

ニュースのポイント

 今年のノーベル物理学賞は、万物に質量を与える「ヒッグス粒子」の研究者2人に決まりました。この研究には、東芝、新日鉄住金、古河電気工業など多くの日本企業がかかわっています。日本企業の高い技術力は「ノーベル賞級」と言えそうです。

 今日取り上げるのは、3面の「ヒッグス粒子 ノーベル賞/研究 日本も貢献/企業の技術力、実験装置に」です。
 記事の内容は――今年のノーベル物理学賞が、ブリュッセル自由大名誉教授のフランソワ・アングレール氏と英エディンバラ大名誉教授のピーター・ヒッグス氏に決まった。万物に質量を与える「ヒッグス粒子」の存在を理論的に予想した研究には、日本の研究者や企業が関わった実験装置が果たした役割も大きかった。受賞の研究業績には、ヒッグス粒子を見つけた大型加速器LHCの実験チームATLASなどの名前も明記された。ATLASには東京大など日本の16の研究機関から110人の日本人研究者が加わっている。LHCの電磁石は、日本の高エネルギー加速器研究機構が設計し、東芝が製造。特殊なステンレス材を提供した新日鉄住金、超伝導ケーブルの古河電気工業など20社近い日本企業もかかわる。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 昨年はiPS細胞で山中伸弥京都大教授が医学生理学賞を受賞しましたが、毎年この時期になると、ノーベル賞が大きな話題になります。今年の物理学賞は日本人の受賞とはなりませんでしたが、日本人研究者、日本企業の貢献が高く評価されました。研究業績に実験チームの名前が明記されましたが、平和賞を除き団体には贈られないノーベル賞では異例のことです。ATLASの日本グループをまとめる浅井祥仁・東京大教授は「実験グループとしては受賞できなかったが、我々も今回の受賞に貢献できてうれしい」と言い、LHCの建設責任者リン・エバンス氏は「要求に即座に応えてくる日本企業の能力の高さに感銘を受けた。LHCは、国際協力の力強さを示す良い例だ」と語りました。

 高エネルギー加速器研究機構の資料には、LHC建設に貢献した主な日本企業として、記事に出ている3社のほか、JFEスチール、カネカ、IHI、浜松ホトニクス、川崎重工業、林栄精器、ソニー、ジーエヌディー、フジクラ、クラレ、有沢製作所が登場します。メーカー志望のみなさんは、それぞれの企業がどんな分野で貢献したのか調べてみてください。

 エバンス氏が語った科学技術分野での国際協力の重要性については、今日のオピニオン面の大型インタビューで、ノーベル賞受賞者の野依良治・理化学研究所理事長が大変に興味深い話をされています。人や資源、情報が簡単に国境を超えるグローバル社会では、一国の発展を担う科学技術も国の枠を超え、頭脳の争奪戦が激化、一方で加速器実験、宇宙探査、共同治験や地球規模の環境問題解決には国際共同作業が必要で、国家の利害を乗り越えるため、世界の動きを把握しながら多様な文化を尊ぶ若者を育てなければならない――という主張です。ぜひ目を通してみてください。

 また、今日の28面「大学生活にコトバの力」には、「語彙・読解力検定」がどう就活に役立つかが載っています。こちらもご一読を。

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