2013年08月30日

キング牧師、柔道・康生監督の「言葉の力」

テーマ:文化

ニュースのポイント

 言葉には人生を変え、世の中を変える力があります。「私には夢がある」で始まる人種差別撤廃を訴えたキング牧師の歴史的演説から半世紀。米国初のアフリカ系(黒人)の大統領が同じ場所で演説をしました。柔道日本男子の井上康生監督の言葉が選手に力を与え、世界選手権で金メダルを続々獲得しています。就活も、実は言葉の勝負。言葉の力を鍛えましょう。

 今日取り上げるのは、国際面(12面)の「I have a dream キング牧師演説から50年/差別撤廃 行進は続く/オバマ氏、雇用に力点」と、スポーツ面(24面)の「お家芸復活?男子『金』ラッシュ/自信与えるマジック――康生の言葉」です。
 記事の内容は――マーチン・ルーサー・キング牧師がワシントンで歴史に残る名演説をしてから半世紀。同じ場所で演説したオバマ大統領は「より自由で公平な国になった」と語る一方、なお残る雇用や格差の問題を強調した。実際、黒人の失業率は白人の倍近く、警察による人種差別的な検査や捜査も後を絶たない。
 ロンドン五輪で金ゼロだった日本男子柔道の再建を託され、シドニー五輪金メダリストの井上康生氏が新監督になって9カ月余。リオデジャネイロでの世界選手権4日間で金3個の結果は、「康生マジック」のようだ。井上監督は試合前、「お前の時代だから、必ず王者になるぞ」「お前は世界一になるにふさわしい人間だ」など前向きな言葉を贈り、選手に力を与えている。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 黒人は白人と同じバスに乗ることができず、学校も、飲食店も、水飲み場も人種別……。わずか50年前にアメリカ南部では当たり前でした。それを変える大きな力になったのがキング牧師の名演説です。「私には夢がある。いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが肌の色ではなく、人格そのものによって評価される国に住むと」。みなさんもどこかで目に、耳にしたことがあるでしょう。キング牧師はのちに凶弾に倒れますが、人種差別を禁じた公民権法や投票権法の制定につながりました。

 日本の柔道界は、このところ女子代表指導者による暴力問題など不祥事が続いていました。開催中の世界選手権で女子はまだメダルゼロと不調ですが、男子の活躍は嬉しいニュースです。金ラッシュの原動力となっているのが井上監督。昨夏のロンドン五輪で初の「金」ゼロの惨敗を喫した日本男子柔道界の「切り札」です。井上監督はイギリスで2年間指導者研修を受けており、選手との接し方は欧米流。対話を通じて自信を与える言葉を贈り続けているそうです。60キロ級金の高藤直寿選手が「何が何でも監督初の金メダルを、と思っていた」と言ったくらいですから、対話、言葉を通じて厚い信頼関係を築いてきたことが伝わってきます。

 さて、就活でも言葉はとても大事です。極論すると、就活とはエントリーシート(ES)や面接を通じ、あなたの言葉で思いを企業に伝えること――とも言えるくらいです。先日インタビューしたテレビ朝日の採用担当者はこう言っていました。「評価できるESは文章のうまい下手ではなく、やりたいことや自分はこういう人ですということを、自分の言葉でしっかり表しているもの。テレビは映像の仕事ですが、制作過程では自分の考えを相手に言葉でしっかり伝えて意識共有しなければならない。どんなに良いアイデアも、人に伝えられなければ意味がない。ESも同じ。いろいろ書いてあるけど、結局何が言いたいか分からないとなると判断のしようがないですから」(近日中に「人事のホンネ」に掲載します)。面接でも同じことです。

 言葉の力を鍛えるために、朝日新聞社がベネッセコーポレーションと実施している「語彙・読解力検定」に挑戦することをお勧めします。次回検定は11月。このページの右下に検定料がお得な「語彙・読解力(2級)検定受検」のバナーがあります。下にもURLを載せました。ぜひ申し込んで、受検日まで新聞で言葉の力を鍛えましょう。

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