2013年07月09日

原発再稼働、あなたの意見は?

テーマ:社会

ニュースのポイント

 福島第一原発事故を教訓として、安全基準を厳しくした原発の新しい規制基準が施行され、各地の原発が再稼働に向けて動き出しました。全国50基の原発は再稼働する原発と、基準の適合が難しく廃炉を迫られる原発に選別されます。原発再稼働の是非は21日投開票の参院選の争点にもなっています。あなたはどう考えますか?

 今日取り上げるのは、1面トップの「冬にも再稼働 政権が後押し/5原発10基、安全審査を申請」です。
 記事の内容は――新しい原発の規制基準が施行され、北海道、関西、四国、九州の電力4社が5原発10基の再稼働を求めて安全審査を原子力規制委員会に申請した。結論が出るには半年程度かかる見通し。安倍政権は合格後すみやかに再稼働させるとしており、震災後止まっていた原発がこの冬にも動き出す。新基準は過酷事故対策を強化し、津波や地震の対策も大幅に見直した。大津波に襲われる危険性が低く、重要設備建設も終えた四国電力伊方3号機(愛媛県)が最初に再稼働すると予想される。九電川内原発1、2号機(鹿児島県)も課題が少ない。安倍首相は「安くて安定的なエネルギーを供給していく責任がある。規制委が安全と判断したものは再稼働していきたい」と語り、アベノミクスの成長戦略でも「原発の活用」を明記。ただ、年末にまとめるエネルギー基本計画に将来の原発の割合は盛り込まず、先送りして10年以内に検討する方針だ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 国内の原発50基中、現在稼働しているのは関電大飯原発の2基だけですが、その他の原発もこの冬以降動き出しそうです。原発再稼働をめぐっては、安全性、エネルギー問題、経済性などさまざまな課題があり、産業界、消費者、被災者、原発に生活がかかっている地元の人々など多様な視点があります。今日の朝刊では、1、2、5、14、37面で、再稼働問題について展開しています。

 朝日新聞の上田俊英科学医療部長は1面で「急ぐべきは将来のエネルギー利用のなかで原発をどう位置づけるかをはっきりさせること。安易に再稼働させることではない」と主張。日本にどれだけの原発が必要か、いつまで使い続けるのか、原発は安全かという根本的な議論は進んでいない。エネルギーの将来をめぐる政府内の議論は止まり、事故原因も解明されていない。多くの人が避難生活を強いられるなかでの理念なき再稼働は将来に禍根を残すと警告しています。一方、2面では「エネルギーの安定供給と経済性、地球環境の三つの観点で、原子力を維持していくのは重要だ」(豊松秀己・関電副社長)、「電気料金で皆さんにご迷惑をかけないようにするには再稼働が必要」(吉迫徹・九電副社長)といった電力会社側の考え、参院選での各党の主張を掲載。37面では、再稼働を期待する原発の地元の声、憤る福島の避難者の声も紹介しています。5面では、朝日新聞社が6~7日に実施した世論調査(電話)で再稼働に積極的な自民党の姿勢について尋ねると、反対48%、賛成34%でした。

 福島の事故を機に、東京、大阪など大都市圏の生活が地方の原発によって支えられていたことを、みなが実感する一方、原発なしでも電力が賄えることもわかりました。この夏は節電目標を設けずに乗り切れそうですが、早くも列島を覆う猛暑のもと、原発の是非についても考えてみてください。

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