2017年07月04日

銀座の路線価、バブル期超え!関連業界はどこ?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 東京・銀座の土地の値段(路線価)がバブル期の水準を超えて、過去最高額を記録しました。2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、東京でのインフラ整備や投資が盛んになっているためです。不動産業界だけでなく、さまざまな業界が関わっていますよ。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、社会面(29面)の「都心 五輪バブル?/2020年に向け再開発加速/銀座の路線価 過去最高/環境変化に懸念」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
(写真は、JR東日本「品川新駅」建設など再開発が進む工事現場。右方向が品川駅、左方向が田町駅=東京都港区、本社ヘリから)

公示地価、路線価、基準地価の違い

 国などが示す土地の値段には3種類あって、土地を売買する際の目安になります。

公示地価=国土交通省が1月1日時点の全国の地価を調べて毎年3月に発表。土地の持ち主が市町村に納める「固定資産税」の基準になる。2017年は約2万6000地点が対象だった。
路線価=国税庁が1月1日時点の価格を毎年7月に発表。土地が面している道路ごとに価格をつけ、土地を相続するときに納める相続税や贈与税の基準になる。公示地価の8割を目安に、売買の事例や不動産鑑定士の意見なども参考に算出する。納税者に納得してもらうため、調査地点は公示地価よりずっと多く、今回は全国約33万3000地点が対象。
基準地価=各都道府県が7月1日時点の値段を調べ、国交省がまとめて9月に発表。調べる時期が公示地価と半年ずれているため、年度の後半に土地を売り買いする際の目安として使われる。2016年は約2万地点が対象だった。

銀座「きゅうきょどう」って?

 今年の路線価の全国平均は前年を0.4%上回り、2年連続で上昇しました。日銀のマイナス金利政策などの影響で低金利が続き住宅ローンを借りやすいため住宅の需要が安定しています。さらに、都市部での再開発や不動産投資が盛んなこと、訪日外国人客が増加したことも影響したとみられています。

 路線価日本一は東京・銀座の「鳩居堂」前です。銀座のど真ん中にあるお香、書画用品、はがき、便箋、和紙製品の老舗です。32年連続のトップですから、「きゅうきょどう」の名前はニュースで聞いたことがあるのではないでしょうか。なんと、1平方メートルあたり4032万円で、バブル経済後の1992年に記録した3650万円を上回りました。

 都道府県別では、3大都市圏の東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、京都のほか、北海道、宮城、福島、広島、福岡、沖縄の計13都道府県で上昇しました。上げ幅は、仙台市の地下鉄東西線が開業した宮城が3.7%でトップ、五輪がある東京、人口が増えた沖縄が3.2%で続きました。石川と岡山は横ばいで他の32県は下がりました。全体としては、人口の減り方が大きい地方では下がり、一部の都市部が上がったという構図です。
(写真は、東京・銀座の「鳩居堂」前。訪日外国人客らでにぎわう)

関連業界は?

 東京五輪に向けて進むインフラ整備は地図を見てください。中でも注目は③の品川駅周辺です。JR山手線の品川-田町駅間の「品川新駅」(仮称)の工事が進むほか、品川駅でも2027年にリニア新幹線が開業する予定です。田町駅付近と羽田空港を結ぶ新路線の計画もあり、この地域の路線価は前年から14%上がった地点もありました。

 ④の晴海では五輪選手村を建設中。大会後にはマンションに改装され、約5600戸、約1万2000人の街が誕生する予定です。⑥の環状2号線が都心とつながるため、都心がぐっと近くなります。

 こうした開発に直接関わるのは、不動産、街づくりをするディベロッパー、小売り、鉄道、金融といった業界です。新しい街、駅、商業施設ができれば、さらに様々な需要も生まれます。志望業界との関わりをあれこれ考えてみてください。

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