今日の朝刊 朝日新聞の木之本・あさがくナビ編集長が毎日の朝刊から注目記事をピックアップ! 略歴

2017年06月14日

自動運転の時代に向け 「3次元地図」の世界が熱い!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 みなさん、突然ですが「地図」を読むのは得意ですか? 就活では企業回りで知らない場所に行くため、グープルマップなど地図アプリのお世話になる機会が多いと思います。私は学生時代は地図が苦手で、初めての場所に行くたびにとても緊張しました(しかも当時は紙の地図しかない時代・・・)。今ならスマホですぐナビできるので、本当に助かります。それでも電波の状況が悪いとGPSがうまく機能せず、現在地が微妙にズレて迷うことがあります。紙の地図がデジタルになっても、方向音痴は治りませんでした。
 今、車の世界でも「デジタル地図」が熱いそうです。将来の自動運転の実現に向けて「3次元のデジタル地図」作りが本格化しています。異業種の会社どうしがタッグを組み、国際競争で主導権を握ろうと狙っています。(あさがくナビ副編集長・山口真矢子)

 今日取り上げるのは、経済面(7面)の「自動運転『デジタル地図で主導権』/革新機構・三菱電など出資 3万キロ道路データ収集へ」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
(写真は、自動運転で使われる3次元デジタル地図のイメージ=三菱電機提供)

地図会社「ゼンリン」の狙い

 日本の地図会社で最大手は、福岡県北九州市の「ゼンリン」です。この会社の歴史を追うととても面白いです。1948年に大分県別府市で創業、当時は観光客向けに名所案内の冊子を作っている小さな会社でした。そのノウハウを生かして地元の住宅地図を手がけるようになり、やがて全国展開して大きく成長しました。「ゼンリンの住宅地図」といえば、まさに文字通り1軒1軒の住宅やマンション、ビルなどすべてが載っている地図帳です(私も取材の時よく使っていました)。その紙の地図がやがてデジタルになり、カーナビや電子データベース、スマホの地図アプリなどに使われるようになりました。ただ、カーナビ本体の価格が下がり、地図アプリも無料が当たり前になってきて、ゼンリンも一時は収益減に悩んでいました。最近では自動運転など新しい分野で巻き返しを図ろうとしています。3次元地図を使ったドローンの自動飛行実験もしています。地上だけでなく「空の地図」にも進出、というわけですね。
(写真は、ゼンリンが行ったドローンの自動飛行実験の様子=2017年6月3日朝日新聞朝刊に掲載)

自動運転を支える高精密な「デジタル地図」

 最近とてもホットな車の自動運転。それを支えるのは高精度の3次元地図データです。車が自動運転するには、刻々と変わる道路の車線や信号機、周りの建物など立体的な位置情報を正確に把握しなければなりません。「カーナビを使えば大丈夫では」と思うでしょうが、現在のカーナビに使われているGPSだと、距離に誤差が生じることがあります。立体的な位置情報でも誤差が出ることがあり「あれ?一般道走っているのに、真上の高速の表示になってる」なんてことも。また、カーナビは過去の地図データを使っているので、工事で通行止め、事故で片道通行などのリアルタイムの情報は反映されません。
 人が運転するなら多少の誤差があっても情報を補正して運転できますが、自動運転ではそうはいきません。常に正確かつリアルタイムに情報把握するためには、カーナビより高精度の「3次元地図データ」が必要になるのです。自動運転では、カメラやレーダーが運転手の目の代わりになって走りますが、悪天候や障害物で視界がさえぎられても、地図情報で正確な“先読み”が可能になります。いわば、人のためのナビではなく、車のためのナビになるのです。
(画像は、首都高速道路の3次元デジタル地図=ダイナミックマップ基盤企画提供)

オールジャパンで競争に勝つ

 しかし、日本中の道路を高精度3次元地図にするには、膨大な手間とお金がかかり、とても一つの企業ではできません。道路には国道、県道、市道などがあり、それぞれ違う行政機関が管理しているので、最新情報を集めるだけでも、ものすごく大変です。そこでまずタッグを組んだのが、ゼンリン、三菱電機、国内自動車メーカー各社です。昨年6月、共同出資で準備会社を設立していました。今回は、その準備会社に政府系ファンドの産業革新機構が13億4000万円出資し、「ダイナミックマップ基盤企画(DMP)」という会社を設立しました。
 今、世界各国の企業が自動運転の技術開発でしのぎを削っています。ドイツでは、ダイムラー、アウディ、BMWの3社が地図会社「ヒア」に出資して傘下におさめています。できれば、自分たちが開発したシステムが世界標準になれば、大きなビジネスになります。厳しい国際競争に勝つために、まさに官民で手を組み「オールジャパンで頑張ろう」というわけです。

異業種とのタッグが当たり前に

 ビジネスの世界は常に激動しています。「この会社のこの製品・サービスがいい」といって一つの会社に就職しても、数年後はどうなるかわかりません。全く別の部署に異動することもあれば、他社との競争に負けて事業が撤退することになったり、新規事業で全く異業種の会社とタッグを組むことになったりすることもあるでしょう。私自身は入社当時、紙の雑誌の編集者として朝日新聞社に入りました。でもその後は異動で新聞の編集者になり、気づいたらいまは別の会社とタッグを組み就活生向けのウェブを作っています。デジタル地図は高精度なのがいいけれど、「人生の地図」は意外とどうなるかわからないものです。
 みなさんも、未知なる世界への好奇心と大いなる行動力を持って、就活の旅を続けてください。私たち「あさがくナビ」がナビ役でがっつりサポートします。

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