2017年06月13日

経産省若手の報告書が話題…読んで考えて面接で使おう!

テーマ:社会

ニュースのポイント

 経済産業省の若手職員がまとめた社会保障制度改革を提言する報告書が、ネットで拡散されて話題になっています。5月22日の「ニュース★あらもーど」でも取り上げましたが、みなさんが中心になっていくこれからの日本の社会のあり方を根本的に考える材料が満載です。さまざまな業界のビジネスにも関わりますし、「最近気になるニュース」で取り上げるなど、採用の面接でも使えます。図やグラフをふんだんに使って分かりやすく解説した報告書です。ぜひ読んでみてください。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(7面)の「経産省若手の報告書 ネットで異例の注目/社会保障『現役世代に冷たい』」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。

「昭和の標準的人生」成り立たない

 報告書は「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」とのタイトルで、20~30代の職員30人が2016年8月から議論を重ね、5月中旬に公表しました。経産省のホームページにアップしたところ、SNSで一気に拡散し、延べ120万人以上がダウンロードしました。

 ポイントをまとめます。を見てください。1960年代の日本社会を前提につくられた「サラリーマンと専業主婦で定年後は年金暮らし」という「昭和の標準的人生」は成り立たなくなっていることを示しています。元気に暮らせる健康寿命は、日本は74.9歳と世界一(英国71.4歳、ドイツ71.3歳、米国69.1歳)。65歳以上でも働く意欲がある人は6割以上いるのに、実際には高齢者が働く場がなく社会的な活動もせず、定年退職すると日がなテレビを見て過ごしている人が多いと指摘します。意欲、健康、経済状況など高齢者の状況は様々ですが、今の社会システムでは、ある年齢で一律に「高齢者=弱者」として扱い、選択の機会が与えられていません。

子どもや教育への投資を最優先課題に

 一方で、日本の母子世帯の貧困率は世界でも突出して高く、貧困が親から子に連鎖して固定化する構造になっています。日本は高齢者向け支出に比べて現役世代向けの支出が低く、「現役世代に極端に冷たい社会」だといいます。

 戦後、日本は世界に誇れる社会保障制度を構築して公平性を維持した経済成長を実現しましたが、少子高齢化が進み、今の時代には適応していないと指摘。高齢者重視の政策が行われる「シルバー民主主義」を背景に本質的な改革から逃げるのをやめ、社会の仕組みを抜本的に組み替える時期に来ているとして、三つの提案をしています。
①一律に年齢で「高齢者=弱者」とみなす社会保障をやめ、働ける限り貢献する社会へ
②子どもや教育への投資を財政における最優先課題に
③「公」の課題を全て官が担うのではなく、意欲と能力ある個人が担い手に(公共事業・サイバー空間対策など)

 最後に、団塊の世代の大半が75歳を超える2025年までに高齢者が支えられる側から社会を支える側に転換する社会を作り上げる必要があり、「この数年が勝負」で「日本が少子高齢化を克服できるかの最後のチャンス」としています。

家族に当てはめて考え、ビジネス目線も

 提言には「この程度か」「解決策がない」といった批判も多いようですが、みなさんが少子高齢化問題を考えるにはちょうどよい素材だと思います。提言を読んで、まず自分の家族、祖父母や知り合いの高齢者の状況を思い浮かべてみてください。まだ働いていますか、リタイアしていますか、健康状態はどうですか。人それぞれでしょうが、健康でまだ働く意欲があるお年寄りには仕事をして社会を支える側にまわってもらう。それができる、しやすい仕組みに変えて、若者・教育への投資を充実させる。そうしないと日本の未来は開けないと思える内容です。具体的な解決策にはあえて触れていませんが、中心メンバーの岡本武史さん(37)は今日の記事で「誰もが考えなければいけないことについて広く問題提起することを狙った」と語っています。みなさんもぜひ考えてください。

 就活生は「ビジネス目線」で考えることも大事です。自分の志望業界や企業にどんな影響があるのか、考えてみましょう。提言の最後は、日本の経験が20年後に迎えるアジアの高齢化を解決することにもつながるとしています。将来に向けた大きなビジネスチャンスとも言えそうです。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから