今日の朝刊 朝日新聞の木之本・あさがくナビ編集長が毎日の朝刊から注目記事をピックアップ! 略歴

2017年02月28日

LGBTに優しい会社は働きやすく成長性も高い!?

テーマ:社会

ニュースのポイント

 同性愛者や体と心の性が一致しないトランスジェンダーなどを指すLGBT(性的少数者)が働きやすいように取り組む企業が増えています。LGBTが働きやすいということは、そうでない人も働きやすい可能性が高いうえに、成長性も高いようです。どうしてでしょうか。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(9面)の「波紋風紋/LGBT 人材の多様性 企業の成長力に」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。

LGBTって?

 LGBTについておさらいします。性的少数者のLesbian(レズビアン、女性同性愛者)▽Gay(ゲイ、男性同性愛者)▽Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)▽Transgender(トランスジェンダー、心と体の性の不一致)――の総称です。電通が2015年に全国の約7万人に実施した調査では、LGBT層は13人に1人(7.6%)でした。このコラムを読んでくれている人の中にもいるでしょうし、みなさんの周りにもいるはずです。
(写真は、LGBTへの理解を求めるパレード「東京レインボープライド2016」=2016年5月8日、東京・代々木公園)

「大企業の4割」が対応策

 長い間、強い差別や偏見にさらされてきたLGBTですが、最近は日本でも社会の理解が進むとともに、ダイバーシティー(多様性)推進の一環として対応策をとる企業が増えています。経済三団体の一つ経済同友会が2月に発表した調査によると、LGBTに対応する施策を実施している企業は39.7%。5000人以上の大企業では75.0%にのぼりました。具体的には「相談窓口の設置」「社内研修・勉強会の実施」「差別禁止規定の明文化」などがあがりました。調査を依頼した903社のうち回答したのは131社だけなので、「意識の高い」企業が積極的に答えた可能性もあるので、割り引いて考えなければなりませんが、広がっているのは間違いありません。

パナソニック、野村HDは…

 1年前の朝日新聞には「同性婚対応 動く企業/パナソニック 規則改め容認へ」という記事が載りました。パナソニックが同性パートナーも結婚と同じように認め、就業規則の「配偶者」や「結婚」の定義を変え、運用対象を拡大。同性パートナーも慶弔休暇や介護の制度を使えるようにしました。世界の約25万人の従業員を対象に、性的指向で差別しないといった行動基準も定めました。紙面で紹介した他の企業の取り組みは(2016年2月19日朝刊掲載)を見てみてください。

 昨年6月には、パナソニックのほか、日本IBM、ソニー、電通、第一生命保険など30の企業・団体が、同性婚への祝い金や福利厚生制度、トイレや更衣室の整備など、LGBTが働きやすい職場づくりの基準をつくりました。今日の記事では、野村ホールディングス(HD)の取り組みを紹介しています。「アライ(ally)」と呼ばれるLGBTのサポーターを増やし、多様性についての研修を、新卒や中途入社の社員、管理職に義務づけています。

グローバル化の必然

 大手各社はなぜ、急にこうした取り組みを始めたのでしょうか。野村は、経営破綻(はたん)した米リーマン・ブラザーズの欧州・アジア部門を9年前に引き継ぎ、一夜にして国籍も人種も違う約8000人の社員が増えました。突然のグローバル化で、人材の多様化への対応を迫られたのです。パナソニックは東京五輪のスポンサーです。五輪憲章で「性的指向による差別をしてはならない」と定められていることも背景にあります。任天堂が欧米版のゲームで同性キャラクターが結婚できない設定が批判を浴び、新しいゲームでは同性婚ができるようにした例もあります。グローバル化が進み、日本の企業も欧米の基準に合わせないとビジネスに支障が出るようになったわけですね。

多様な人材が成長の源泉

 もう一つ理由があります。難民や移民の一部入国を禁ずる米大統領令に、米アップルやグーグル、フェイスブックなどのグローバル企業が一斉に反対の声をあげました(「トランプ大統領の入国禁止令に世界が反発…日本は?企業は?>」2月1日の今日の朝刊参照)。最先端のIT企業の成長の源泉は、世界中から集まる多様な人材にあるからです。

 LGBTの働きやすさに取り組んでいる会社は、女性の登用や男性の育休取得に熱心だったり、全社的に働き方の改革を進めていたりする傾向が高いと思います。今日の記事は「LGBTは社内の多様性や寛容度を示す象徴」と書いています。志望企業のLGBT対応に注目するのも大事な企業研究です。

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