2017年02月22日

京王電鉄の「民泊」参入で考える鉄道業界の事情

テーマ:経済

ニュースのポイント

 京王電鉄が、旅行者を住宅に泊める「民泊(みんぱく)」事業に参入しました。どうして鉄道会社が宿泊の新規事業を始めるのでしょう? 背景には人口減少による沿線の空き家対策があります。企業が何かを始めるときには必ず理由があります。こうしたニュースから業界研究を深め、どんな影響があるか自分なりに考えておくと、ESに書くこと、面接で語れることがグンと増えますよ。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、地域面・東京版(29面)の「民泊事業 京王が先手/蒲田で営業開始/人口減 空き家対策見据え」、経済面(9面)の「民泊新法180日上限案/家主は届け出必要・違反には罰則」(いずれも東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
(写真は、京王の民泊用マンション)

「民泊新法」って?

 訪日客の急増でホテル不足が深刻になる中、自宅の空き部屋や空き家を旅行者らに有料で貸し出す民泊が急速に広がっています。ただ、お客さんを泊めて利益を得るのは、旅館業法でホテルや旅館に認められた行為です。これまで政府は、東京や大阪に国家戦略特区を設けて特別に認めてきましたが、旅館業法などの営業許可を受けていない「ヤミ宿泊」が横行。このためルールを明確にしたうえで普及させることにしました。「民泊新法」は、家主を届け出制にして営業の上限を年180日に定め、違反した場合の罰則も設けます。今の通常国会で成立すれば、2017年度中に施行される見通しです。

鉄道業界で初の参入

 民泊新法に先んじて、鉄道業界から初めて参入するのが京王電鉄です。不動産事業の拡大策として参入を決め、東京・大田区の新築マンション1棟を買い取って改装。民泊専用として運営し、今日から営業を始めました。地下1階、地上6階建てで部屋は1K~2DKの3種類計14室。定員は3~5人で、ファミリー、ビジネス、カップル向けを想定しています。利用料は一室1泊1万1000~2万1000円(税抜き)です。
(写真は、京王の民泊用マンションの一室)

沿線地域の活性化ねらう

 大田区内に京王線は走っていません。東京版の記事で京王の担当課長は「京王沿線でも人口減が想定され、空き家物件など不動産の活性化が課題。まずは大田区でトライアルして将来の沿線での事業展開につなげたい」と話しています。新法で民泊が本格的に解禁される前に先手を打って、事業のノウハウを蓄積しておこうという狙いです。

 京王は、ターミナルの新宿駅や渋谷駅の周辺で民泊運営を進めていく考えです。一方で、沿線の東京・多摩地域では人口減少のため空き家が増えているという事情を抱えています。京王線の多摩地域には、外国人旅行客にも人気の高尾山があります。こうした観光スポットの周辺でも民泊事業展開できれば、沿線地域の活性化にもつながりますね。

 そう考えると、京王の民泊参入は、「鉄道会社ならでは」であることが分かります。今後、他の鉄道会社も追随するかもしれません。民泊は、鉄道だけでなくホテル・旅館、旅行、不動産といった業界に関わります。こうしたニュースから業界への理解を深めてください。

※「就活割」で朝日新聞デジタルの会員になれば、すべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。大学、短大、専門学校など就職を控えた学生限定の特別コースで、卒業まで月額2000円です(通常月額3800円)。お申し込みはこちらから