2017年02月14日

チョコレートを「ビジネス目線」で考えよう

テーマ:経済

ニュースのポイント

 今日はバレンタインデー。本命チョコや義理チョコを何個あげたか、もらったかも気になりますが、就活生はこうした「消費者目線」だけでなく、「ビジネス目線」でチョコレート産業の今について考えてみましょう。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、オピニオン面(17面)の「リレーおぴにおん 甘さと日本人⑧ カカオ 作り手に思いはせて」、明治の全面広告面(20、21面)「チョコレートには、知られざる世界があった」(いずれも東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。
(写真は、横浜高島屋のバレンタインデー特設売り場=2月9日撮影)

健康志向のチョコがブーム

 まずはチョコレート市場の現状から。チョコの小売市場は伸びていて、全日本菓子協会の推計では2015年は前年より3.7%増の5040億円でした。最近ブームなのが健康効果をアピールするチョコです。

 明治の広告には「健康的なチョコレートの食べ方」が紹介されています。チョコに含まれるカカオポリフェノールには抗酸化作用があり、体に早く吸収される性質を持っています。ほかにも、たんぱく質、脂質、糖質、食物繊維、鉄やカルシウムなどのミネラル類、リラックス効果があるテオブロミンも含まれます。

 各メーカーはこうした特徴を生かし、脂肪吸収を抑えたり、腸の調子を整えたりするとされる成分を使った商品をヒットさせています。機能性表示食品のチョコや乳酸菌入りのチョコ、カカオ70%以上の「高カカオチョコ」などが人気です。「体に良いチョコ続々…『健康』はお菓子メーカーのキーワード」(2016年8月30日の今日の朝刊)では、江崎グリコ、ロッテ、明治、森永製菓の取り組みについて書きました。読んでみてください。
(図は、1月21日朝刊の「続・元気のひけつ/高カカオチョコ」から)

カカオの生産現場に思いをはせて

 世界のチョコの消費は経済成長で中間層が増えているアジアを中心に伸びています。過去10年ほどで中国では市場規模が4倍、インドは7倍に拡大しました(2016年2月9日の朝日新聞記事より)。原料のカカオの生産量はアフリカと南米で世界の約9割。アジアではインドネシアで生産が盛んです。

 オピニオン面の記事では、そのカカオ生産現場の不条理を知ることができます。カカオは安い価格で買い取られる構造があり貧困や児童労働などが問題になっています。そんな中で、インドネシアで発酵技術を教え、品質の高い豆を高く買い取るビジネスを始めたのが、チョコレート店「Dari K」代表の吉野慶一さん(写真)です。吉野さんは「努力した人が報われる。日本では当たり前のことを、遠く離れたカカオの生産現場でも実現したい。そして、カカオを通して世界を変えたい。そんな思いから、取引にはフェアトレードにあるような善意は差し挟まず、品質で値決めする」と話します。フェアトレードとは、途上国の原料や製品を労働に見合う適正な価格で購入し、生産者の劣悪な労働条件や貧困、生活の改善、環境問題などの解決を目指す仕組みです。

 吉野さんは「チョコレートに思いを託すバレンタインデー、カカオを栽培している人たちに、ぜひ思いをはせてみてください」と呼びかけています。

明治の広告から「カカオ学」

 最後に、明治の広告面に載っている「カカオ学」から豆知識を――。
◆カカオはギリシャ語で「神々の食べ物」の意味。カカオの実の中に30~40粒の果肉に包まれたカカオ豆(種子)が入っています。古代から中世の中米では、神秘的な力があると信じられ、儀式の捧げ物や薬に利用、貨幣としても使われ、兵士の給料もカカオで支払われていたらしい。口にできたのは王族、帰属、特権階級だけでした。
◆カカオは、赤道から北緯南緯20度圏内のカカオベルトと呼ばれる地域で、高度や年間平均気温、年間降雨量などの条件を満たす地域にしか生育しない繊細な樹木です。
◆生産量が多いのはアフリカ産のカカオ豆で、親しみやすい味わいが特徴。中南米産は個性的な味わいを楽しめるカカオ豆が多くあります。

 チョコに関わる業界といえば、菓子メーカー、商社、百貨店やスーパーなどの流通が主でしょう。志望者は、それぞれの業界の視点からさらに調べてみてください。

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