2017年01月19日

日生の営業職員に3時間半勤務…働き方多様に

テーマ:社会

ニュースのポイント

 生命保険最大手の日本生命保険が、介護や育児中の営業職員向けに1日の労働時間をフルタイムの半分(3時間半)にする新たな勤務形態を導入します。今回の対象はみなさんの多くがめざす正社員ではありませんが、短時間勤務(時短勤務)は時代の流れです。将来の子育てまで考えて、志望する会社の制度を調べてみましょう。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、1面の「日本生命 3時間半勤務導入へ/介護・子育てしやすく/報酬は85%程度」(いずれも東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。

小1の夏休みまで

 日生の新制度は、「セールスレディー」などとも呼ばれる保険の営業職員向けで、4月に導入する予定です。職員の都合にあわせて午前9時から午後1時半の間に3時間半働きます。介護では、父母や祖父母、きょうだいだけでなく、配偶者やその親も対象です。介護が終わるか、子どもが小学校生活に慣れる1年生の8月末まで利用できます。新制度を利用しても、歩合制の部分を合わせればこれまでの報酬の85%ほど確保できるそうです。

 私の職場にも子育てのために時短勤務や繰り上げ勤務制度を利用している社員が何人かいて、夕方、保育園のお迎えの時間に退社します。午後1時半に仕事が終われば、子どもを保育園に一日中預けなくても、幼稚園のお迎えに間に合いますね。仕事と子育ての選択肢が広がります。

政府の「働き方改革」でも

 背景にあるのは人手不足です。今日の記事によると、日生の営業職員は約5万人で、そのうち数千人が介護や育児中だといいます。生保全体の営業職員は約23万人。2015年度に6年ぶりに数が増えるなど、人材獲得競争が激しくなっています。日生は、仕事を続けやすい環境を整えて優秀な人材をつなぎとめる狙いです。

 日生にはすでに介護や育児をしながら働く職員が1日の勤務時間を通常より1時間短くできる制度があり、介護は最長3年間、育児は小学校1年生の8月末まで利用できます。年明けからは半日単位の介護休暇制度も新設しましたが、さらに「3時間半勤務」を加えたわけです。

政府の「働き方改革」でも

 政府が検討している「働き方改革」でも、労働力人口が減る中、女性が働きやすい環境を整えようとしています。折れ線グラフを見てください。女性は、独身のときには仕事をしていても、結婚や出産を機にいったん退職し、その後再就職するケースが多いため、途中がへこんでいますね。「M字カーブ」と呼ばれ、日本独特の現象ともいわれます。このへこみをなくして経済成長につなげようという狙いです。

ライオン、みずほFGも

 他社では、ライオンが1月から、家族を介護しながら働く社員を対象に、無制限に時短勤務を続けられる制度を導入しました。みずほフィナンシャルグループは昨秋、介護休業を最長2年間とれる制度の導入を決めました。介護や育児をしながら働ける仕組みを導入する企業は増えています。今回の日生の動きをきっかけに短時間勤務がさらに広がる可能性もあります。

 短時間勤務だけでなく、週休3日制、「時間限定社員」、出社せず自宅で働く「テレワーク」など、働き方は多様化してきています。将来のライフプランも見据えて、各企業の育児休業や介護休業制度について調べてみましょう。週休3日については「ヤフー『週休3日』検討…休みと仕事考えよう」(2016年9月28日「今日の朝刊」)を読んでください。

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