2016年11月24日

温暖化対策「パリ協定」で伸びる企業を探せ!

テーマ:環境・エネルギー

ニュースのポイント

 地球温暖化対策の「パリ協定」が発効し、出遅れていた日本も締結しました。これを機に、太陽光、風力、地熱といった発電のほか、バイオエネルギー、廃棄物処理や浄水施設、農業、建築などの環境技術が改めて注目されています。温暖化対策は大きなビジネスチャンスだからです。どんな企業がかかわっているのでしょうか。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、科学面(21面)の「温暖化対策 ビジネスが主役/COP22 少ない水で作物栽培/発電効率2倍の太陽電池/再生エネ 途上国で拡大」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)です。

トランプさんも軟化?

 パリ協定の「基本のき」については、11月4日の今日の朝刊「きょう発効! 『パリ協定』をやさしく解説」で書きましたが、対応が遅れていた日本もその後の8日に締結しました。トランプ米次期大統領(写真)は「地球温暖化はでっち上げ」と公言し、オバマ大統領が主導してまとめたパリ協定を離脱すると主張してきましたが、ここへきて柔軟姿勢を示しています。

 そこで、温暖化防止の主役が政治からビジネスに移りつつある状況を紹介したのが今日の記事です。モロッコで今月開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)では、世界中から約100社が出展して最先端の環境技術を披露しました。

中小も大企業も

 欧州やアフリカの企業が多い中、日本から出展した鳥取再資源化研究所(本社・鳥取県北栄町)は少ない水で野菜などを栽培できる技術を出展しました。土に混ぜて使う廃ガラスと炭酸カルシウムを使った小さな穴の開いた保水材で、トマトとインゲン豆の収穫量が2割以上増えたといいます。同社の担当者は「環境技術を売りにしている中小企業にとって、COPは世界に発信する絶好の機会」と語っています。

 同社は社員9人の小さな会社です。日本には、同じように小さくとも優れた環境技術をもった企業がたくさんあります。こうした企業にとってパリ協定は大きなチャンスです。

 大企業では住友電工の取り組みが紹介されています。COP会場近くの砂漠地帯で、光をレンズで集めて発電する「集光型太陽光発電(CPV)」の実証実験をスタート(写真)。高温に強い化合物太陽電池が使われ、一般的なシリコン太陽電池に比べて2倍の発電効率があるそう。将来はほかのアフリカ諸国への展開をねらっています。

「業界地図」で探してみると…

 市販の「業界地図」などで、環境技術に強みをもつ代表的な企業をピックアップしてみました。
【太陽電池】シャープ、京セラ、パナソニック、三菱電機、ソーラーフロンティア、カネカ……
【風力発電】日立製作所、日本製鋼所、東芝、ユーラスエネジーホールディングス、Jパワー、日本風力開発、エコ・パワー、クリーンエナジーファクトリー……
地熱発電東芝、三菱日立パワーシステムズ、富士電機、出光興産、九州電力、丸紅、JX金属、国際石油開発帝石、日本重化学工業……
燃料電池アイシン精機、東芝、パナソニック、ブルームエナジージャパン、三菱日立パワーシステムズ、富士電機、三浦工業、京セラ……
リチウムイオン電池村田製作所、パナソニック……
スマートハウス積水ハウス、旭化成ホームズ、大和ハウス工業、ミサワホーム……

 他にもたくさんの会社が技術開発を競っています。こうしたキーワードを、あさがくナビや朝日新聞デジタル、朝日新聞の新聞記事データベース「聞蔵(きくぞう)」、あるいはグーグルなどで検索して、企業の取り組みを調べてみましょう。

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