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2016年10月28日

「女性天皇」「女系天皇」違いは?・・・皇室の議論に注目

テーマ:社会

ニュースのポイント

 天皇陛下の退位をめぐって政府が設けた有識者会議は27日、ヒアリングする専門家16人を決めました。同じ日の朝、昭和天皇の末弟の三笠宮崇仁(みかさのみや・たかひと)さまが100歳で亡くなられました。このため、皇室の男性は5人となり、皇位を継承できる人がまた1人減りました。有識者会議が議論をするのは、とりあえず退位の問題ですが、女性天皇や女系天皇を認めるかどうかという問題の議論も迫られています。皇室についての議論は一般常識として知っておいた方がいいと思いますので、ごく簡単に整理してみます。(朝日新聞社教育コーディネーター・一色清)

 今日取り上げるのは、3面の「時時刻刻 公務軽減に議論限定 有識者会議 18年退位想定急ぐ 16人半数近く特例法に理解」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。

写真は、高円宮家の長女承子さま(左)、次女の千家典子さん(右)、三女絢子さま(上)ら孫娘たちに囲まれる生前の三笠宮さまです。

若い継承権者は悠仁さまだけ

 現在皇室を構成している皇族の方々は19人います。うち14人が女性で、男性は5人だけです。皇室のことを決めている法律である皇室典範では、第1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」となっています。男系とは、父親が生来の皇族であることです。つまり、天皇になれるのは、皇族として生まれた父親をもつ男性だけです。現在は、天皇陛下以外としては、長男の皇太子さま、次男の秋篠宮さま、秋篠宮さまの長男の悠仁さま、天皇陛下の弟の常陸宮さまの4人で、皇位を継承する順番は記載の順です。若い世代の継承権者は10歳の悠仁さまひとりです。天皇陛下の退位については、強いお気持ちを受け止めて今の陛下だけに適用する法律を作って対応することになりそうですが、そもそも皇室の永い存続を考えれば、若い皇位継承権者をもっと増やさないといけないという議論が出てきて当然です。

女性天皇認めても課題残る

 そのために出ている意見としては、まず女性天皇を認めるべきだというものがあります。女性天皇を認めれば、皇太子さまの長女である愛子さまを筆頭に30代以下だけでも計7人の皇族が継承権者になります。女性天皇は、今までに10代8人が存在しました。ただ、女性天皇を認めるとしても、天皇は男系であることにこだわれば、すぐに限界がきます。つまり、女性天皇の子は女系となるため、天皇になれません。結局、男性皇族が男子をもうけない限り、存続できないことになり、課題は残ります。また、7人の女性皇族は、愛子さまを除けば成人した未婚女性ばかりです。女性皇族は結婚すれば皇室を離れることになっています。ですから、数年もすれば、若い女性皇族は愛子さまだけになりかねず、女性天皇を認めるならば、女性宮家を認めて女性皇族を皇室内にとどめる方策を急ぐ必要もあります。

女系天皇は「万世一系」に反する?

 ということで、「皇室を永く存続させるためには女系天皇を認めるしかない」という意見があります。女系天皇を認めれば、女性天皇が産んだ子も男女を問わず天皇になれるため、継承権者は一挙に増えます。ただ、「女系天皇は認めない」とする意見が根強くあります。日本の天皇制は男系でつながってきており、その歴史を絶やしてはならないというのです。天皇制を形容するときに「万世一系」という言葉がよく使われます。これは永遠に一つの系統が続いているという意味ですが、歴史を研究している人の中には、「男系が続いたといえるのか」と疑問を呈する人もいます。何より、男系にこだわって皇室が存続できなければ、それこそ歴史を途絶えさせることになります。2005年、小泉純一郎首相の時に女系天皇を認める報告書がまとめられたことがありましたが、その直後に秋篠宮妃紀子さまが懐妊し、悠仁さまが誕生されました。そのため、論議は先送りになり、今に至っています。

ここ1、2年大きな話題に

 天皇陛下の生前退位は、2018年の実現を目指して議論がスタートしています。ここ1、2年は、皇位継承問題が世間の大きな話題になるはずです。就活の面接や筆記試験で直接聞かれることは考えにくいテーマですが、世間で話題になっていることはフォローしておきましょう。しっかりした知識があれば、どこかで役に立つと思います。

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