2016年08月04日

稲田防衛相は「タカ派」…政界のタカとハトって?

テーマ:政治

ニュースのポイント

 安倍晋三首相が内閣改造を行い、「第3次安倍再改造内閣」が発足しました。主要閣僚が留任する中、安倍首相が将来のリーダー候補として重用(ちょうよう、じゅうよう)する稲田朋美防衛相(写真)が注目されています。稲田さんは自民党内きっての「タカ派」として知られています。国会には「タカ派」だけでなく「ハト派」もいます。政治の世界のタカとハトってなんでしょうか? これを読んでおけば、これからの政界の動きや外交問題も理解しやすくなりますよ。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「稲田防衛相 靖国どうする/中韓との関係 懸念も」「中韓メディア警戒『侵略を否定』」(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版)です。

タカは強硬派、ハトは穏健派…

 広辞苑を見ると、
【鷹派】自分の理念・主張を貫くために、相手と妥協せず、強硬に事に対処していく人々。また、武力をもってしても主張を達しようとする人々
【鳩派】強硬手段をとらず、相手と協調しつつ事を収めようとする立場をとる人々
とあります。

 もとの意味は、タカ派は武力行使も辞さない強硬路線派、ハト派は何とか話し合いで収めようとする穏健路線派といったところです。政治的なスタンスを示す言葉には「保守・リベラル」「右派・左派」「右翼・左翼」もあり、これらの意味も含めて、タカ派は改憲派、ハト派は護憲派のように使われることもあります。

ハト主導からタカ主導になった自民党

 政界にはタカもハトもいます。中でも自民党はタカからハトまで幅広い考え方の人がいる政党で、それぞれにグループ(派閥)をつくっています。ハト派の代表が岸田文雄外相が会長をつとめる岸田派(宏池会=こうちかい)です。戦後、吉田茂氏が進めた軽軍備・経済重視路線を引き継ぎ、穏健な政治手法やアジアとの友好を重んじる手法で、池田勇人氏、大平正芳氏、宮沢喜一氏らが首相につき、長く自民党内の主流派でした。

 タカ派の代表格は、安倍首相の祖父・岸信介氏の流れをくむ細田派(清和会=せいわかい)で、福田赳夫氏、小泉純一郎氏、安倍氏らが首相になりました。稲田氏もメンバーです。2012年末の第2次安倍政権誕生以降、ハト派は力を失い、自民党はタカ派色が強い「安倍一色の党」になったとも言われています。

 は2年前の朝日新聞に載ったものです。自民党の中心が岸田外相のハト派・宏池会から安倍首相が代表するタカ派に移った構図を描いています。

中韓との関係大丈夫?

 2005年の衆院選のとき、弁護士として保守系論壇で活躍していた稲田氏に安倍氏が立候補を勧めました。両氏は政治信条や国家観が近いタカ派です。稲田氏はこれまで終戦記念日には必ず靖国神社に参拝し、日本が核兵器の保有を検討すべきだと発言したこともあります。安倍氏は、米軍普天間飛行場の移設問題や安全保障分野で経験を稲田氏に積ませて、首相の後継候補にしようとしているのではないかとみられています。

 「稲田防衛相」誕生を警戒しているのが中国と韓国です。にあるように、靖国参拝を続けていたり、韓国に厳しい発言をしたりしてきたためです。日本の政府・与党内からも、稲田氏の言動が中国や韓国との関係を悪化させないか、安倍政権の不安定要因として心配する声が出ています。靖国問題の経緯については「靖国問題…歴史を知ったうえで考えよう」(2014年1月27日の今日の朝刊)で書いています。ぜひ読んでみてください。
 今後の稲田防衛相の言動や、日中、日韓関係から目が離せませんね。

 最後に「第3次安倍再改造内閣」という舌をかみそうな呼び方について。2014年の衆院選で3度目の首相指名を受けた安倍氏の内閣で、2度目の改造(閣僚の入れ替え)が行われたという意味が込められています。

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