2016年05月26日

G7伊勢志摩サミット 「基本のき」を押さえよう

テーマ:国際

ニュースのポイント

 主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が今日から2日間開かれます。日本で開かれるのは8年ぶり。関連ニュースでもちきりですが、そもそもサミットって何? 何が決まるの? 「基本のき」を学びましょう。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、1面の「伊勢志摩サミットきょう開幕/財政出動への足並み焦点」です。1面の「天声人語」、オピニオン面(14面)の社説「持続する世界/G7の決意が問われる」も関連記事です。
 記事の内容は――伊勢志摩サミットで議長を務める安倍晋三首相は、世界経済を下支えするため、協調して景気対策などの財政出動に取り組む姿勢を打ち出したい考えで、先進国の足並みがそろうかが焦点となる。ただ、財政規律を重んじるドイツと英国が財政支出の拡大に慎重な姿勢だ。政治・外交分野では、水際対策の強化を盛り込んだテロ対策行動計画をまとめる。難民問題では、日本もシリア難民を留学生として受け入れる方針だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

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 サミットは、世界の中で経済規模の大きい先進民主主義国(日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ)7カ国と欧州連合(EU)のトップ(大統領や首相)による国際会議です。首脳が集まるため英語で「山頂」を意味するサミットと名付けられました。7カ国は「グループ・オブ・セブン」を略して「G7」(ジー・セブン)ともいい、毎年持ち回りで開かれます。石油危機などで世界経済が不安定だった1975年、先進国で対策を打ち出そうと始まりました。1990年代にはロシアが加わってG8(ジー・エイト)になりましたが、2014年にロシアがウクライナのクリミア半島を併合したことに対抗してロシアを排除し、G7の枠組みに戻りました。

 当初は世界経済を話し合う場でしたが、今は政治・外交や気候変動、エネルギーなど幅広い課題について協議します。議題は、議長国となる開催国が管理。伊勢志摩サミットの主な議題は上の表を見てください。

 サミットの注目度は時代によって変わってきました。G7各国の国内総生産(GDP)の合計は、1995年に世界経済の67%を占めていましたが、2011年には50%を割りました。中国やインドなどの新興国が急成長したためです。この間にG7の世界での影響力も低下。リーマン・ショックが起きた2008年には、当時のG8に新興国を加えたG20(G8+EU、中国、インド、ブラジル、南アフリカ、韓国、オーストラリア、メキシコ、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、アルゼンチンを加えた20カ国・地域)の首脳会議がスタートしました。G20のGDPを合わせれば世界経済の80%超を占めます。ところがこの数年、新興国の経済成長が減速しG7はまた注目されるようになりました。G20と違い、民主主義や人権、自由経済といった価値を共有していることも大きな要素です。

 日本での開催は6回目。3回続けて東京で開いた後、2000年に沖縄県名護市、2008年には北海道洞爺湖町で開きました。サミット開催地には、各国政府や報道関係者がたくさん訪れるほか、道路や関連施設の整備・新設事業、会場賃貸料など不動産収入、メディアでの宣伝効果、観光客増など大きな経済効果があると言われます。三重県が3月下旬に発表した中間試算では、直接的な経済効果は同県内で約480億円、全国では計1071億円としています。

 議長として会議を取り仕切る安倍首相にとって今回のサミットは「晴れ舞台」です。サミット後にはオバマ米大統領の歴史的な広島訪問にも同行します。7月の参院選に向け、格好のアピールの舞台になりそうです。

 面接でサミットの話題が出るかもしれません。とりあえずこれくらい押さえておけば何とか対応できると思います。明日27日には、安倍首相が首脳宣言を発表しますから、ニュースに注目してください。

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