2016年05月16日

企業の決算、株価ニュース「わが事化」して考えよう(ニュース★あらもーど 5月9日~5月15日)

テーマ:週間ニュースまとめ

 先日発表されたトヨタの決算は、この3月期の過去最高益よりも、来年3月期の4割減益見通しに注目が集まりました。その大きな要因とされるのが年明けから続く円高です。輸出に頼る大企業が多い日本では、円高になると多くの企業の業績がかげり、就活全体を巡る雰囲気が一変することもあります。どこか遠いところで起きていることではありません。マーケットの動きを理解できるようになるポイントは、できるだけ「わが事(こと)化」することです。自分が利用している製品やサービスを提供している会社の業績や株価に注目し続けたり、ドルやユーロを少しでも持てば、マーケットの変化にも興味を持てたりします。また不祥事や経営不振などで株価が急落した企業に注目すると、会社の動きとマーケットの反応が報じられる機会も多く、関心を持ち続けやすいですよ。
 写真は3月31日付朝日新聞朝刊、コーセー創業70年の2面続きの全面広告を使ったバッグです。
 毎週月曜は1週間のニュースのうち、みなさんと共有したい話題をお届けする「ニュース★あらもーど」の日。火曜~金曜日の「今日の朝刊」通常版とともに、ご活用ください。(朝日新聞教育総合本部ディレクター・真下 聡)

ニュースダイジェスト

【国際】フィリピン大統領にドゥテルテ氏(5/10.Tue)

 フィリピン大統領選挙で南部ダバオ市長、ロドリゴ・ドゥテルテ氏(71)が当選確実となった。10日夜の選挙管理委員会の非公式集計(開票率約94%)で約1570万票を得て、約954万票のマヌエル・ロハス前内務自治相(58)らに大差をつけた。外交経験がなく、米トランプ氏のような奔放な発言が目立ち、中国などと領有権を争う南シナ海問題での立ち位置も一貫しない。アキノ現大統領は中国との対話に見切りを付け、常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に、中国による南シナ海での埋め立てなどを国際法違反と訴えた。中国の圧力に対抗しようと、米軍を25年ぶりに事実上駐留させる方針も決めた。

【決算】トヨタ3月期、過去最高益 来年は4割減益見通し(5/11.Wed)

 トヨタ自動車は、2016年3月期決算で本業のもうけを示す営業利益が前年比3.8%増の2兆8539億円、最終的なもうけを示す純利益は同6.4%増の2兆3126億円で、過去最高を3年連続で更新したと発表した。ただ17年3月期の利益は大幅に落ち込むとの見通しだ。営業利益は前年比40.4%減の1兆7000億円と見込む。減益は5年ぶりで、円高による押し下げが響く。純利益は同35.1%減の1兆5000億円、売上高は同6.7%減の26兆5000億円と予想。為替レートの想定は年明け以降、円高が進んでいるのを受け、前年より15円円高の1ドル=105円に見直した。アベノミクスによる円安効果で景気回復のエンジンとなってきたトヨタの好業績は、曲がり角を迎えている。

【自動車】三菱自、日産への傘下入りで合意 (5/12.Thu)

 日産自動車と三菱自動車が資本業務提携することで基本合意したと発表した。日産は、三菱自の株式34%分となる2370億円を出資して筆頭株主になる方針で、事実上傘下に収める。単独で株主総会の重要事項を否決できる「拒否権」も得る。4月に発覚した三菱自の軽自動車などでの燃費偽装は、業界再編に発展した。両社が取締役会で決め、日産のカルロス・ゴーン社長、三菱自の益子修会長兼最高経営責任者(CEO)が記者会見した。月内に正式契約し、年内をめどに出資手続きを終える考え。日産は三菱自に会長を含む取締役、不正があった部門も含む開発担当役員を派遣する方針だ。日産、同社と資本提携を結ぶ仏ルノー、三菱自を合わせた世界販売は、年960万台に達する。トヨタ自動車、独フォルクスワーゲン、米ゼネラル・モーターズの上位3社に迫る。ゴーン氏は、出資後も三菱ブランドは「守る」と話した。

【政治資金】舛添知事「私的な支出」 政治資金45万円返金へ(5/13.Fri)

 東京都の舛添要一知事は定例会見で、政治資金からの支出を家族旅行にあてたなどと週刊文春に報じられた問題について、調査結果を明らかにした。「私的な支出が誤って計上されていた」などとし、知事就任前にホテルや飲食店に支払われた7件計約45万5000円分について、収支報告書を訂正・削除して返金する意向を示した。
 7件の内訳は、ホテルの宿泊費2件▽イタリア料理店の飲食代1件▽回転ずし店の飲食代1件▽天ぷら店の飲食代3件。千葉県内のホテルに2013年1月3日と2014年1月2日に支払われた計約37万円は、収支報告書に「会議費」と記載されていたが、舛添氏は家族4人分の宿泊費と認めた。部屋で事務所関係者らと国政選挙や都知事選の対応で会議をしたとして「私の認識では政治活動」と述べたが、「誤解を招いた」として返金する。知事職は続ける考えを示した。

【労働】賃下げ、同業務なら「違法」 定年後再雇用めぐり東京地裁判決 (5/13.Fri)

 定年後に再雇用されたトラック運転手の男性3人が、定年前と同じ業務なのに賃金を下げられたのは違法だとして、定年前と同じ賃金を払うよう勤務先の横浜市の運送会社に求めた訴訟の判決があり、東京地裁は「業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは、労働契約法に反する」と認定。定年前の賃金規定を適用して差額分を支払うよう同社に命じた。労働契約法20条は、正社員のような無期雇用で働く人と、再雇用など有期雇用で働く人との間で不合理な差別をすることを禁じている。弁護団によると、賃金格差について同条違反を認めた判決は例がないという。定年を迎えた社員を別の給与水準で再雇用することは多くの企業が慣行として行っており、今回と同様の仕組みをもつ企業に波紋が広がりそうだ。

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