2016年05月10日

「爆買い」されるコンドームのオカモトってどんな会社?

テーマ:経済

ニュースのポイント

 コンドームで国内シェア1位のオカモトが、過去最高益を上げました。中国人観光客による「爆買い」などで売り上げが急増したためです。オカモトはコンドームだけでなくゴム製品の総合メーカーです。こうしたニュースをきっかけに、気になった企業について調べてみましょう。就活の幅が広がりますよ。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(6面)の「コンドーム爆買い効果 オカモト過去最高益」です。
 記事の内容は――コンドームやゴム手袋などの生活用品を手がけるオカモトは、2016年3月期の純利益が過去最高の50億円に達した。中国人観光客による「爆買い」などが寄与し、コンドームの売上高が前年より44%伸びた。昨年4月発売でこれまでより約半分薄くし、同社製品で最も薄い0.01ミリ台の「オカモトゼロワン」(写真)が好評で、中国人を中心に訪日客がドラッグストアでまとめ買いしているという。輸出も好調で、前年より東南アジア向けが3割、北米向けが2割伸びた。岡本良幸社長は「東欧など海外市場をもっと開拓したい」と語った。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 コンドームは性生活に関わる商品ですから、普段あまり大っぴらには語られませんよね。ただ、性感染症やエイズウイルス(HIV)感染予防のためにも世界的に普及が必要とされています。社会貢献という観点から興味を持つ人もいるかもしれません。

 オカモトの企業ホームページの「製品案内」を見てみます。
【生活用品】コンドーム、カイロ、衛生用品、ホームケア用品、ヘルスケア用品、手袋、家庭用小巻ラップ、レインコート・ブーツ、メディカル製品、粘着テープ・ゴムバンド、食品用シート
【産業用製品】プラスチックフィルム、農業資材、アロマ-フィルム、工業用テープ、産業資材、輸送用製品、壁紙素材、食品衛生用品
 実に多彩な製品が並んでいます。

 採用情報ページで岡本社長は、「当社は、生活用品や産業用品などさまざまな分野にもシェアを広げています。でも、それをあえて強調する気はありません。なぜなら世界に認知される『コンドーム』に誇りを持っているからです。逆に徹底して『コンドームのオカモト』で良いと思っています。とはいっても新しい分野への進出も積極的に行っており、安心や安全、生活の豊かさを開発のキーワードにして、当社の製品は広がっています。『創意溢れる技術を結集して、健康的で快適な人間生活に寄与する商品をつくり出し、当社に関係するすべての人々に、より大きな満足を与えることをめざす』ことを企業使命と考えているんです」「Jリーグのサッカーシューズやバスケットシューズ、新幹線や国内外の車の内装材・住宅用の壁紙、ラップなども手がけていますが、オカモトの名前が前面に出る必要はないと考えています。各企業に採用していただいているということが自信です。商品が一人歩きしてくれることの方が、企業戦略としてもよいのです」
 コンドームづくりはもちろん、他の分野でも発揮している高い技術力に対する誇りが伝わってきます。
 
 ちなみに、日本のコンドームのシェアトップ3は、オカモトに続いて、不二ラテックス、相模ゴム工業ですが、いずれもコンドーム以外の様々な分野の製品を開発・販売しています。世界のコンドーム市場で圧倒的なシェアを持っているのは、英国のブランド「デュレックス」。性生活に関する国際調査を定期的に行っていることでも知られています。

 蛇足ですが、2013年の週刊朝日の記事によると、五輪の選手村ではコンドームが配布されます。2012年のロンドン五輪では史上最多の約15万個が用意されたが、開幕5日目で底をついたそうです。配布するコンドームは開催国で流通しているブランドの中から、国際オリンピック委員会(IOC)が決定するため、国内3社は2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて競うことになります。

 爆買いの対象になるのは、中国の消費者の間で信頼を勝ち得ている商品ということですよね。ほかにどんな商品が爆買いされたか、新聞記事データベースなどで調べてみてください。

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