2016年04月07日

ANA、JALがトップ2!人気ランキングで企業研究深めよう

テーマ:就活

ニュースのポイント

 今年の就職人気企業ランキングで、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)がトップ2を占めました。例年上位を占める大手商社やメガバンクが順位を下げる一方、食品メーカーの多くがランクアップしました。自分が志望する企業の順位に一喜一憂する必要はありませんが、なぜ上がったのか、下がった要因はなんだろうと考えて、業界・企業研究を深めてください。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(7面)の「ANA・JAL 人気1、2位に/就職ランキング」です。
 記事の内容は――就職情報会社の学情は6日、2017年卒業・修了予定の大学・大学院生を対象にした「就職人気企業ランキング」を発表した。全日本空輸が2年連続の1位、日本航空が前年の7位からランクを上げて2位となり、航空大手2社が上位を占めた。前年から順位を上げたのが食品業界。味の素が16位から7位、森永製菓が30位から8位に浮上するなど、50位までに15社が入った。年明け以降、景気の先行きに不安感が高まるなか、堅実な業態に人気が集まったとみられる。資源安の影響もあり、大手商社で上位10社に入ったのは、2016年3月期の純利益が過去最高となる見通しとなった3位の伊藤忠商事だけだった。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 調査は2~3月にインターネットや合同企業説明会の会場で実施し、約1万1000人が回答しました。 志望する企業のランクが上がると、学生のエントリーも増えて倍率が上がる可能性がありますが、みなさんにとって大事なのは、企業の10年後、20年後です。調査時点でエントリーを締め切るなど、選考が早い企業はランクが低くなる傾向もあります。100位に入るような企業はもともと大人気企業ですし、現時点での順位の変動に喜んだり、悔しがったりしても仕方ありません。
 
 ここでは、なぜ上がったのか、下がったのか、要因を考えてみましょう。学生による人気投票ですから、企業の業績、広告・宣伝やニュースなどでの露出度が大いに影響します。
◆航空↑
 2010年に経営破綻したJALは、2012年卒、2013年卒のランキングでは200位圏外まで落ちましたが、経営再建とともに順位を上げ、昨年は7位でした。もともと超人気企業ですが、経営状態が良くなるとともに、一気にランクアップしました。ANAが2013年に客室乗務員(CA)の採用を契約社員から正社員に変えましたが、JALも2016年4月以降の入社を正社員採用にしました。こうした方針も影響していると考えられます。
*ANAの「人事のホンネ」も参考になります(JALの人事のホンネも2015シリーズにあります)。

◆食品↑
 食品業界は手堅いイメージがあるため、景気があまり良くないときに人気が上がる傾向があると言われます。味の素(16位→7位)、森永製菓(30位→8位)、サントリーホールディングス(8位→9位)とトップ10に3社が入ったのをはじめ、50位までに15社も入りました。訪日外国人による爆買いや、海外展開などが話題になった影響もありそうです。
*カゴメの「人事のホンネ」も読んでみてください。

◆商社↓
 前年は5大商社がすべて25位内に入っていましたが、今回は伊藤忠(2位→3位)、丸紅(9位→26位)、住友商事(23位→37位)、三菱商事(22位→46位)、三井物産(18位→54位)と軒並み順位を下げました。資源・エネルギー価格の低迷で、業界トップ2の三菱商事、三井物産が相次いで2016年3月期決算の赤字見通しを発表するなど、厳しい経営状況が影響したと考えられます。一方で、アパレルや食品など資源以外の事業分野に力を入れてきた伊藤忠は過去最高益で業界首位に立つ見通しで、トップ3に踏みとどまりました。
*「花形分野に永遠なし 三井物産、戦後初の赤字転落」(3月24日の今日の朝刊)、「『組織の三菱、人の三井』だけじゃない!5大商社の強みと個性を把握しよう」(3月25日の今日の朝刊)も読んでみて。

◆銀行↓
 三菱東京UFJ銀行(5位→10位)が唯一トップ10に入りましたが、三井住友銀行(10位→11位)、みずほフィナンシャルグループ(12位→21位)とともに、3大メガバンクはいずれも順位を下げました。株価が低迷していることや、日本銀行によるマイナス金利導入で、銀行の収益悪化が予想されていることが響いた可能性があります。

 元気な企業はランクが上がる傾向はありそうですね。学情のホームページには200位までのランキングと、文理別、男女別のトップ50が載っています。志望する業界や企業の順位がどう変動したのか、それはなぜなのかを考えてみましょう。その際には、朝日新聞デジタルや大学図書館などにある朝日新聞記事データベース「聞蔵(きくぞう)」などを利用して、検索窓にの企業名を入れて過去1年分の記事を検索してみてください。業界・企業の最新動向がつかめますよ。

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