2016年02月16日

ビール業界、海外展開での「勝ち組」を決算で知ろう!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 ビール大手4社による海外展開の動きが再び活発になっています。国内のビール類市場が縮小するなか、各社がまだ伸びしろのある海外事業の割合を高め、売り上げを確保しようとしているためです。
 サントリーホールディングス(HD)が、2014年に1兆6000億円(当時)かけて買収した米蒸留大手ビーム(現ビームサントリー)の売上高を順調に伸ばす一方、海外展開で先んじていたキリンHDは、約3000億円かけて2011年に買収したブラジル飲料会社スキンカリオール(現ブラジルキリン)が苦戦。投資に見合う収益を得るどころか、1100億円を減損処理する事態になりました。明暗が分かれるなか、海外展開に遅れをとっていたアサヒグループHDが、イタリアなど欧州のビール4社を約3300億円かけて買収しようとしています。武将たちが所領を増やすためにしのぎを削る、さながら戦国時代のようです。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、8面(経済面)の「ビール 海外で明暗/サントリー 米ビームが好調/キリン ブラジル事業で損」です。
 記事の内容は――ビール大手4社の2015年12月期決算が15日、出そろった。サントリーHDは傘下の米企業が先導して、売上高が前年比9.4%増の2兆6867億円(過去最高)、純利益が17.9%増の452億円と、好調。キリンHDはブラジル事業が振るわず、純損益が473億円の赤字になるなど、上場後初の純損失となった。アサヒグループHDは、ベルギーのビール大手アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブ傘下の老舗ビールメーカー、イタリアのペローニ、オランダのグロールシュなど欧州4社の買収に向けて独占交渉権を獲得したと発表。売上高に占める海外比率を約2割まで引き上げる考えだ。サッポロHDもベトナムなどに進出している。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 これまでこの欄で何度も触れてきましたが、企業の決算記事は「宝の山」です。決算とは、企業が一定期間の売上高など経営実績や財政状態をまとめたもの。新聞記事では、業界別にまとめて取り上げることが多く、各企業のトピックはもちろん、今回の記事のテーマである「売上高に占める海外比率」のグラフ(右)などで、ライバル企業同士を簡単に見比べることができるので業界研究にうってつけです。
 
 上の朝日新聞の決算記事では、主に、サントリーHDの売上高が過去最高、キリンHDが上場後初の純損失、各社の海外展開の現状という3つのトピックに触れています。記事には書かれていませんが、アサヒグループHDも、東南アジアの飲料事業が好調で売上高は過去最高を更新しています。もし、志望する業界の決算記事を、新聞で見かけたら、ぜひその日だけでも、図書館やインターネットを利用して、複数の新聞の決算記事を見比べてみましょう。一紙だけではわからなかった情報が得られ、業界への理解がより深まります。

 ビール業界は12月期決算なので、2月中旬に決算が発表されますが、日本では3月期決算の企業が多く、4~5月にかけて、決算のニュースが集中します。中間決算など年に2~3回決算を発表する企業もあります。過去記事を検索するのもいいですが、気になる企業・業界の決算発表の時期を前もって調べておき、スケジュール帳などに書き込んでおくと見逃さずに済み、テレビニュースなどリアルタイムでトピックを把握できるので、オススメですよ。

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