2015年11月18日

ユニクロ・東レ 提携強化に注目!TPP 効果も

テーマ:経済

ニュースのポイント

 「ヒートテック」などのヒット商品を生み出してきたユニクロと東レが、提携関係を強化し、5年間で1兆円の取引を目指します。環太平洋経済連携協定(TPP)も踏まえて戦略を練るなど、このニュースには業界研究のネタが詰まっています。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、経済面(11面)の「ユニクロ・東レ、取引拡大/5年で1兆円 海外強化」です。
 記事の内容は――ユニクロと東レは17日、提携関係を強化して高機能衣類の海外展開を進め、2016年からの5年間に累計1兆円の取引を目指すと発表した。ユニクロは2006年から5年ごとに東レと「戦略的パートナーシップ」を結び、保湿や速乾性など機能性の高い東レの繊維を使った商品を共同開発している。両社の取引は、ヒートテックを開発した2006年からの5年間が2500億円、「ウルトラライトダウン」などが売れた11年からの5年間は6000億円の見通し。16年からの5年間にはスポーツウェア開発にも取り組み1兆円にする。東レの日覚(にっかく)昭広社長は「世の中にない新たな商品を供給していく」と強調した。ユニクロの柳井正社長は「グローバル化とデジタル化を推し進め、東レとの提携を土台にユニクロを世界一のブランドにしたい」。TPP に参加予定のベトナムでの生産力を増やし、欧州市場を見据えてトルコに新工場をつくる。店頭での販売情報をデジタル化して工場と共有し、生産過剰や欠品をなくす仕組みを整える。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
(写真は、提携強化を発表したユニクロの柳井社長〈右〉と東レの日覚社長)

就活アドバイス

 東レといえば、鉄より10倍硬くて重さは4分の1という炭素繊維の世界トップメーカーです。アクリル繊維を高温で焼いてつくる炭素繊維は、1971年に東レが世界で初めて量産に成功。高い技術力でコストを下げ、世界シェアの3割を占めます。米航空機大手ボーイングの大型機向けに、今後10年間で1兆円規模を販売することで基本合意するなど、脚光を浴びています(2014年11月18日の今日の朝刊「東レ、炭素繊維で大型契約!こだわりの歴史あり」参照)。

 そんな東レですが、2015年3月期の売上高に占める「炭素繊維・複合材料」の割合は7.9%に過ぎません。最大の42.6%を占めるのは、本業である伝統の「繊維」。ただ、従来型の化学繊維は中国が世界シェアの7割を占め、インド、東南アジア諸国連合(ASEAN)が続き、価格競争では新興国にかないません。ここでも東レの強みは高機能商品を生み出す技術力。その代表例が、ユニクロとの共同開発で生まれた保湿肌着「ヒートテック」や「ウルトラライトダウン」「エアリズム」です。この提携をさらに強化するわけです。

 日覚社長は朝日新聞の社長インタービュー(7月2日朝刊)でこう語っています。
 「衣料向けは保温や通気性の良さ、吸汗速乾、といった新しく快適な機能を毎年加え、世界に広げていきます。国内は成熟市場で大きくは伸びないですが、海外はますます伸びていく。中国や東南アジアは生活水準が上がり、『良いもの』を求める層が増えています。
 繊維では、自動車のエアバッグや、紙おむつ向けも伸びる分野です。紙おむつなら国によって好みは違うし、素材になる繊維も求められる機能が違います。おむつの部位によって、『吸い取る力が強い』とか『やわらかく』とか、どうきめ細かく対応できるかで、他社との差が出ます。
 繊維の技術は応用できる範囲が広く、すべての事業のベース。丈夫で精密な糸をつくる力などは、水処理の膜などにも生きます。繊維は採算が苦しくなりやめていった社もありましたが、我々はまだまだ伸びると見込み、技術も重要だと考え、がんばった。『選択と集中ができない』なんて、さんざん言われましたけどねえ」
 本業へのこだわりが伝わってきますね。

 両社がベトナムでの増産を掲げたのは、TPP参加国のため原則として関税がなくなるため。ユニクロの柳井社長が挙げたキーワードは「グローバル化とデジタル化」です。両社はTPPを前提に海外での生産・販売をグローバルに展開。さらにデジタル化でお店の売れ行きが工場に直結する仕組みを整え、人気商品をすぐに増産できるように対応して、ユニクロの「世界一」を目指します。TPPが日本の企業の戦略に影響を与えた好例です。TPPを理解できていない人は、10月6日の今日の朝刊「ついに合意!いまさら聞けないTPPってなに?」を読んでみてください。

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