ニュースのポイント
大手企業の採用選考が山を越え、今年の就活もそろそろ終盤というムードが漂ってきたようですが、まだ内々定を取れていないみなさん、焦ることはありません。今は多くの企業が人手不足で困っている時代です。採用選考を続けている企業、これから追加募集をかける企業、大学のキャリアセンターに求人を出す企業がたくさんあります。あなたに合う企業がきっとあります。就活は「あきらめない」ことが大事です。(編集長・木之本敬介)
今日取り上げるのは、1面のコラム「折々のことば」です。哲学者で京都市立芸術大学長の鷲田清一(わしだ・きよかず)さんが、古今東西の様々なことばを取り上げ、思索をめぐらせる人気コラムです。今日取り上げたことばは――
大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること。(玄田有史)
労働経済学者の玄田さんが「希望のつくり方」で書いた言葉です。鷲田さんは、越えられない壁に直面したとき、うずくまらずにうろつけば小さな穴が見つかりトンネルが開くかもしれないし、ヘリコプターが上空から見つけてくれるかもしれない、という趣旨のことをつづりました。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)
就活アドバイス
8月下旬に学情が行った学生アンケートでは、文系、理系とも80%以上が内々定を得ていて、7~8割が就活を終えていました。その後、さらに内々定率は上がっているでしょうが、まだ就活を続けている学生もいます。ある大学のキャリアセンターの責任者は「今年は内々定をいくつも取る学生と、一つも取れない学生の二極化がさらに進んでいるように思います。周りがみんな決まってしまうと、スーツを来てキャリアセンターに来づらくなってしまう。こうやってあきらめてしまう学生が一番心配です」と話していました。
8月末、大学の就職指導担当者と企業の採用担当者が集まる「就職講演会・名刺交換会」が東京でありました。今年の就活事情を語るパネルディスカッションで司会をしたのですが、最後に「まだ採用活動を続けている企業の方、手を挙げてください」と会場に問いかけると、700人以上の担当者の大半の手が挙がりました。
今年、企業の大卒生の採用予定数は過去数年でもっとも多いうえ、就活スケジュールの変更で内々定辞退がかつてないほど増えています。大企業より前の5~7月に内々定を出した中堅・中小企業の中には大手の選考が本格化した8月に入って「20人の内々定者が半分に減った」「10人のうち来ると言っているのは1~2人で、それもどうなるかわからない」などという会社が続出しています。これから追加募集をかける企業もたくさんあります。
ただし、鷲田さんが書くように、動くのをやめてしまった人にチャンスは訪れません。あきらめずに動いていれば、きっと希望が見つかります。大学のキャリアセンターにも、この時期になって求人情報が続々と届いています。センターに行って相談してみましょう。
あさがくナビの合同企業説明会「就職博」は、今日明日のほか28、29日にも新宿で開かれます。ほかにも、関西、名古屋、福岡などで、多くのイベントが予定されています。下のリンクから見てみてください。
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