2015年08月14日

【特別編】就活スケジュールは見直し必至? 1、2年生は特に注意を(一色清の「今日の朝刊ウィークエンド」)

テーマ:就活

ニュースのポイント

 新しいスケジュールの就職活動戦線は終盤を迎えているようですが、今のところ新スケジュールは不評のようです。理由は二つ。一つは、3年生の夏のインターンに始まり、4年の夏の内定まで1年間の就活は長すぎるというものです。学生はくたくたになり、狙いと違い勉強がおろそかになります。もう一つは、ルールが守られていないというものです。8月から選考開始のはずが、その前にかなりの会社が内定や内々定を出していました。こうした問題が見えてきたので、社説では「まず検証を」と求めています。今週は「今日の朝刊」はお休みですが、特別編をお送りします。(朝日新聞教育コーディネーター・一色清)

 今日取り上げるのは、12面の社説「『後ろ倒し』の検証を/就職活動」です。
 記事の内容は――今年から就職活動の選考開始が4月から8月に「後ろ倒し」されたことが、学生や企業に混乱を生んでいる。
 文部科学省や経済団体は、学生や大学、企業の実態調査を急いでほしい。それぞれの生の声を聞き取り、背景も含めて検証してもらいたい。
 学生が学業に専念できるよう政府が経済界に就活時期の繰り下げを求めた。経済団体も指針を設け、加盟社に呼びかけた。
 ところが、結果は狙いとは逆になっている。指針には拘束力も罰則もない。未加盟の情報技術(IT)や外資系企業が先行した。加盟社でも水面下で選考する会社もあったという。
 文科省の7月の調査だと、選考の開始時期を「大部分の企業が守らなさそうだ」と答えた大学が半数近くを占めた。(中略)
 就職協定は戦前期からあり、生まれると骨抜きにされ、消えると混乱が広がり、また結ばれる繰り返しだった。
 当面は学生や企業にとって、どの時期にすればよいかを話し合い、政府、大学、経済団体で調整するほかないだろう。(後略)

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 今年からの新スケジュールの命は、そう長くはないかもしれません。最大の問題は、当初の狙いがはずれていることです。就活を後ろ倒しにした狙いは、就活を4年生の一時期にとどめ、それ以外は勉強に専念できるようにするということでした。最近はグローバル人材育成の必要性が叫ばれていますが、こうすれば就職のことは気にせず留学もできるはずと考えていました。

 ところが、実態は就活期間が長くなっただけでした。企業はいい人材に早くから目をつけておきたいため、3年生の夏のインターンシップに力を入れるように。終わってしばらくすると、外資系企業や新興のIT系企業などは学生との接触を始めます。春になると、大手企業にエントリーシートを出し、そのうちのかなりの企業が水面下での接触を求めてきます。そうこうしているうちに「内々定」、オワハラ、スケジュールを守った大手の選考開始と続きます。まさに一年間、学生の心は「就活」に支配されます。

 大昔になりますが、私の就活時代(1977年)は今より時期がもっと遅く、4年生の10月に会社訪問が解禁され11月から採用試験が始まっていました。その少し前に3年生に内定を出すような「青田買い」が問題になったため、大幅に後ろ倒しになったのです。このスケジュールであっという間に就職先が決まっていましたので、いい時代でした。でも、この就職協定も、結局守られなくなり、1985年から前倒しされました。就活スケジュールは、長い間、後ろ倒し、前倒しの繰り返しです。

 今回も遠くないうちに見直しは必至だと思います。検証すれば、メリットよりデメリットが強調されることが予想されるからです。その時には、「協定や申し合わせのたぐいはもうやめよう」という意見が強くなるような気がします。グローバル人材を採用する流れが強まれば、国内の学生だけにあわせた協定はないほうがいい、と感じる企業が多くなるでしょう。まったくの自由市場になれば、好況の時は3年生の時から内定を出す企業が増え、不況の時は4年生の夏くらいまで内定が出ない、ということになるでしょう。ただ、そういうものだとなれば、混乱も心配するほどではないかもしれません。1,2年生は、今年のスケジュールが自分の時には適用されないかもしれないということを頭の片隅に置いていてもいいと思います。

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