2015年06月16日

「ドローン革命」 商機に注目!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 小型無人飛行機、ドローンが注目されています。首相官邸の屋上で発見されたり、お祭りで飛ばそうとした少年が逮捕されたり、事件・事故で話題になりましたが、いま、3Dプリンターと並んで、「世界を変える」とか、「空の産業革命」とまで言われています。ドローンのビジネスでの可能性を考えます。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、オピニオン面(17面)の「ネット点描/ドローンの衝撃/『マイコン』並み 革命進む」です。
 記事の内容は――日本スマートフォンセキュリティ協会が5月下旬に開いたフォーラムの議論はドローンに集中した。「手軽に飛ばせる無線操縦ヘリ」程度にしか認識されていないが、角川アスキー総合研究所の遠藤諭主席研究員は「電脳空間で起きてきた大変化が現実世界でも起きようとしている。その象徴がドローンと3Dプリンターだ」と指摘する。ドローンに搭載されている超小型で省電力な演算機器、各種センサー、小さくて長時間もつバッテリーなどは、スマホの市場拡大によって低価格化し高性能化した。スマホはネット接続用端末として生まれたから、ドローンはネット時代ならではのメカなのだ。ドローンの衝撃を、遠藤さんはマイコン(パソコン)の登場に例え「国や大企業でなければ持てなかった計算能力を、個人が持てたのがマイコン。ドローンは空を舞台にその革命を起こしている」と言う。「ハードウェアの進化が、ソフトやネットの進化に追いついてきたのが今。ネットのスピードや経済原則が、リアルな社会にどんどん反映されていく」とも語る。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 ドローン(drone)は、英語でミツバチの雄、あるいはその「ブーン」という羽音を意味しています。UAV(Uninhabited Aerial Vehicle)とも呼ばれます。偵察や空爆など軍事目的の開発から始まり、実際にイラク戦争やアフガニスタン戦争、イスラム国(IS)への無人攻撃に使用されてきました。元外務省主席分析官の佐藤優さんは「高度なドローンの技術を持つ国が、覇権を握ることになる」とまで言います。

 いま注目されているのは、複数の回転翼をもつヘリコプター型のドローン。コンピューターを搭載し、GPS(全地球測位システム)などから情報を得て、翼の回転速度や姿勢を制御。事前にプログラムを組み込むことで、完全自動飛行もできます。小型カメラ付きの機種もあり、ネットや家電量販店で数万円で買えるものもあります。

 ドローンのビジネス利用が注目されたのは、2013年末、アメリカの通販大手アマゾンが、無人機による宅配サービスを始めると発表してからです。この数年のビジネス利用の話題をまとめると――。
◆警備大手のセコムは、工場などに不審者や車が侵入すると、ドローンが敷地内を自動で追いかけて車のナンバーや人相を撮影する警備サービスを始めると発表
◆NTT東日本は、災害時の被害を確認したり、川をまたいでケーブルを運んだりするために、北海道、東北などにドローンを配備
◆建設機械大手のコマツは、ドローンで上空から土地を測量、無人掘削機や無人ブルドーザーと組み合わせて、建設現場の初期の基礎工事を自動で行う計画
◆高松市は、ドローンを使った離島への宅配を計画中
◆アメリカのテレビ局CNNは、報道用に飛ばす計画で「質の高いビデオジャーナリズムを目指す」と表明

 ほかにも、御嶽山噴火の降灰確認、福島第一原発の放射線が高い区域での調査などに利用され、道路橋やトンネルの老朽化チェックなど、危険な場所での救助、捜索活動、情報収集への活用が期待されています。農薬散布の実験も始まっています。また、東京海上日動はドローンが壊れたり落ちて人にけがをさせてしまったりしたときに保障をする保険を売り出します。

 一連の事件を受け、国内でも安全基準やプライバシー侵害を防ぐためのルール作りが始まりました。今はあいまいなルールが整備されれば、ビジネスとして一気に広がるという見方もあります。ドローンビジネスの世界市場は、2023年ごろに10兆円を超えるとの予測もあるほど。多くの業界に影響を与える可能性があります。

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