2015年06月09日

大学で学んだこと、面接でもっと語ろう!

テーマ:就活

ニュースのポイント

 エントリーシート(ES)や面接で必ず聞かれることの一つに「学生時代に打ち込んだこと」があります。就活生の答えで圧倒的に多いのはアルバイトやサークルのこと。大学での学業のことをアピールする学生はあまりいません。でも、ゼミや研究室で自ら積極的に学んだ経験は、実は大きなアピールポイントになります。今、大学で何を教えるべきか、大学のあり方が議論になっています。焦点は「社会で役に立たない」と指摘されることもある人文・社会科学系の学部ですが、そこで学んでいる学生も将来につながる力を身につけているはず。この機会に、大学で学んできたことを振り返って面接でPRできるようにしてください。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「『国立大、文系見直しを』ニーズ踏まえ廃止・転換促す/文科省通知」です。
 記事の内容は――文部科学省は8日、全86の国立大学に学部などを見直すよう通知し、主に文学部や社会学部など人文社会系について、社会に必要な人材を育てられていなければ、廃止や転換を求めた。国立大に投入される税金を、ニーズがある分野に集中される狙いだ。例えば、人文社会系の卒業生の多くがサラリーマンになる実績を踏まえ、大学は地元で必要とされている職種を把握。需要にあった人材を育てる学部に転換するといった想定。文科省によると、自然科学系は国益に直接つながる技術革新や産業振興に寄与しているが、人文社会系は成果が見えにくい。国立大への国の補助金は計1.1億円以上。財政事情が悪化する中、「見返り」の多い分野に力を入れさせる考えだ。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 朝日新聞の紙面では、「争論 文系学部で何を教える」(3月4日オピニオン面)で、「実践力」重視の経営コンサルタント・冨山和彦さんと、「考える力」に力点を置く名古屋大准教授・日比嘉高さんが持論を展開。読者から多くのご意見が寄せられ、昨日の朝刊フォーラム面「大学改革の行方/教養・実学 対立しない」で紹介しました。お二人の主張の要点をまとめます。

【冨山さん】日本経済は、世界のトップを相手に闘う自動車、電機、ITなど大企業中心のグローバル経済と交通や飲食、福祉など地域に根ざした中小中堅のローカル経済圏に分かれた。大学進学率が5割を超え、卒業生の大半が進むのはサービス業を中心としたローカルの世界。ローカル経済圏の生産性を高めるため、学生には職業人として必要なスキル、実践力を大学で身につけてほしい。学術的な教養にこだわる従来の文系学部のほとんどはローカル大学には不要。アカデミズムの学校と、実学の学校の二つの山にすべきだ。

【日比さん】20年後の社会がどうなっているかはわからない。どんな未来にも対応できるよう、次の世代には十分な力をつけてあげたい。よりよく生きていくために可能性を広く高く残すのが大学が果たすべき役割だ。実社会が求めるのは重層的な判断力。情報はネットであふれるが、何が正しいか、どう評価したらいいかを考え抜き、選択しなければならない。自分の頭で考える力が求められている。文系学部で身につけた教養はどんな分野に進んでも役に立つ力になる。

 論争はこれからの大学の話ですが、いま実際に学んでいる当事者として、あなたはどう考えますか。自分の意見をまとめておきましょう。

 先日、ある大学の理系学部でES講座を実施し模擬ESの添削をしました。「学生時代に打ち込んだこと」で学生が書いてきたのは、やはりアルバイトやサークル活動ばかり。研究など学業について書いた学生はほとんどいませんでした。ところが、担当教授に話を聞くと、多くの学生が自らテーマを選んで課題設定する研究もあるとのこと。「どうしてそのことを書かないんですかねえ」と教授も嘆いていました。

 学業の中でも面接官にとくに響くのは、研究など自ら積極的に取り組んだことです。企業での仕事は、正解のない課題をどう解決して成果を得るかが勝負。文系でも理系でも、ゼミや研究室では、課題を設定し、仮説を立てて、調査や実験で実証していきますよね。その過程での手法やプロセスは、会社に入ってからの仕事に通じます。なぜそのテーマを選んだのか、どう工夫したのか。本気で取り組んだ研究なら、きっと面接でもアピールできますよ。

 机にかじりついて知識を詰め込んだ勉強も評価されることがあります。「入社後もずっと勉強」という三菱UFJ信託銀行の岸本博一さんは「人事のホンネ」でこう話してくれました。
 「これまでは、やりたい習い事は続け、やめたいものはやめたと思います。でも会社や仕事には『やらなければいけないこと』『やるべきこと』がある。嫌なことでも全力疾走でやらなければならない。そういうことに人生の中できちんと向き合ってきたかどうかを確認します。学生にとって『やるべきこと』は、まずは学業。成績がいい悪いではなく、学業にどう取り組んできたか。大学に入った目的や、苦手な学業にどう向き合ってどうクリアしてきたのかを聞いていきます」

 学業のアピールについては、「大学で学んだこと、面接で語れますか?」(2013年8月22日の「今日の朝刊」)でも書きました。こちらも読んでみてください。

※朝日新聞デジタルの無料会員は1日3本の記事全文を、有料会員になればすべての記事を読むことができ、過去1年分の記事の検索もできます。ぜひ登録してください。

アーカイブ

テーマ別

月別