2015年05月20日

2016年卒採用、本当に安泰?「内定出し」はいつから?

テーマ:就活

ニュースのポイント

 「入社式はハワイでやります」――。「売り手市場」が加速している2016年春卒の学生たちに向けて、企業がさまざまな方法で、自社の魅力を伝える努力をしています。有名な映画監督にCM制作を手がけてもらう企業もあります。企業と学生が交流できるカフェを大学キャンパス付近に設置する企業もあります。カフェの費用は企業持ち、学生の飲み物は無料です。こんなに企業が学生の採用に躍起になっているのですから、みなさんの就活は安泰…本当にそうなのでしょうか。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、総合面(3面)の「来春採用へ企業躍起/今春大卒就職率、リーマン前水準に/ハワイで入社式・交流カフェ/日程後ろ倒し 中小採用に影響も」です。
 記事の内容は――今春卒業した就職希望の大学生の就職率が、昨年比2.3ポイント増の96.7%と4年連続で改善し、リーマン・ショック前の水準をほぼ回復した。文部科学省が発表した。就職活動が本格化している来春卒は、さらに「売り手市場」になっているが、説明会開始が12月から3月、選考開始が4月から8月に後ろ倒しになるなど、採用日程の変更による影響を懸念する声もある。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 なんだか景気のいい数字ですが、みなさん自身の感覚に合っていますか。この記事の後半には、就職情報会社による次のような調査結果も掲載されています。「今年4月に大学生・院生の21%が最終面接を経験、4月末の内々定率は9.8%」となっています。10人に1人がすでに内々定をもらっているということです。
 この記事では触れていませんが、朝日新聞デジタル「&」には、別の就職情報会社による「2016年卒採用の『内定出し』開始時期は『6月』が最多」という調査結果も掲載されています。GW前後に企業に緊急調査をし、488社から回答を得た結果だそう。なんだか焦ってしまいますね。

 今回の記事で注目したいのは、売り手市場で、学生の大手志向がますます強まっている、という内容です。5月時点で「大手狙い」と回答した就活生は全体の47%で、昨年の同時期を18ポイントも上回っています。「今日の朝刊」(2015年4月8日付)で「就職人気企業ランキング」について触れていますが、ランキングに登場するような企業は下位であっても穴場どころかほんの一握りの人気企業。日本には非上場も含めると約400万社、上場企業に限っても約3500社あります。
 みなさんが、ふだん商品や社名を目にする有名企業ばかりを狙い、その企業の採用結果が出た後に仕方なく中小企業も、と手を広げていては、今回の後ろ倒しのスケジュールでの短期決戦で、心から行きたいと思える企業を見つけるのは至難の技です。就活についての著書が多い千葉商科大専任講師の常見陽平さんも記事の中で「来春の卒業生は、就職が決まらずじまいになる人が増える可能性もある」と話しています。

 ではどうすればいいか。受験のころを思い出してください。本命校一本という人もいたでしょうが、多くの人は複数校を受験したと思います。第一志望でなくても、絶対行きたくないような学校は選んでいませんよね? 数ある学校の中から自分の志向、学力、立地など、さまざまな要素を吟味したうえで選んだはずです。志望する業界や企業が決まっている人は、その業界や企業の周辺で自分なりの「松竹梅」の「竹」や「梅」をさがしてみてください。「竹」や「梅」のことを知ってこそ、「松」の値打ちもわかり、おのずと対策も見えてきます。「梅」の内定を得たうえで、心に余裕をもって「松」に挑戦するもよし、自身さえ納得できれば、セーフティーネットと思って受験した「梅」で就活を終えたってよいのです。
 人は人、自分は自分です。

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