2015年05月13日

決算は最新情報 企業研究の宝の山!

テーマ:経済

ニュースのポイント

 企業の決算の発表がピークを迎えています。円安や原油安が追い風になり、過去最高の売上高やもうけを記録する大企業が続出する一方、小売業には厳しい風が吹いています。決算は企業の最新情報。経営状況だけでなく、強みや弱み、いま何に力を入れているのかなど「企業の今」がわかる「宝の山」です。決算記事や企業の決算資料を読み込んで企業研究を深めましょう。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、1面の「上場企業 最高益更新へ/東証1部・3月期/円安で輸出好調」です。経済面(7~9面)に関連記事が載っています。
 記事の内容は――東京証券取引所第1部に上場する企業の2015年3月期決算は、12日までに約3分の2が発表を終えた。純利益合計は20兆円を超え、売上高とともに過去最高を更新する見込み。多くの企業が2016年3月期も好業績が続くとみており、売上高と純利益は2年連続で過去最高となりそうだ。SMBC日興証券が集計した。円安などの追い風を受けた電機、自動車が好業績を引っ張った。円安が逆風となる小売業は、純利益24.5%減。消費増税と、輸入コスト増による日用品の値上がりが響いた。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 決算は、企業が一定期間の経営成績や財政状態をまとめ、いくらお金を使っていくらもうけたかや、財産の状況などを明らかにする手続き。日本では、お役所に合わせて4月から翌年3月までの1年間をまとめる「3月期決算」の企業が多いため、今の時期に発表が集中します。

 7面の記事「好決算 積極投資にかじ/3月期 原材料安も追い風に」に登場する企業をピックアップします。
三菱マテリアル営業利益が前年比8.4%増、売上高7.2%増。年内は円安基調が続くとみて2016年3月期はさらに上回る予想
富士重工業→北米での自動車販売台数が約2割増。その大部分が日本からの輸出で円安効果が大きく、売上高、営業利益、純利益がすべて過去最高
JFEホールディングス(HD)→鉄鉱石、原油など原材料が値下がりし、営業利益45.2%増
ANAHD、日本航空(JAL)→円安で海外から訪れる人が増え、売上高、営業利益が前年を上回る。燃料代下落もプラスに
JR東日本、JR東海、JR西日本→国内消費回復の兆しで、売上高、営業利益が前年を上回る。「京都や奈良の観光が好調」(JR東海)
トヨタ自動車→新工場建設を3年間凍結していたが、積極経営への転換を宣言。メキシコと中国・広州での新工場建設に計1700億円を投じると発表。豊田章男社長は「今年より来年、来年より再来年と成長し続ける」
ソニー→「大きなリストラは終了」として2016年3月期には3年ぶりの純損益黒字化を見込む。過去2番目の5100億円の投資を行い国内の半導体工場を増強する方針
パナソニック→今後4年間で通常の設備投資と別に「戦略投資」として1兆円をつぎ込む。自動車や航空機向け事業のため海外を中心に企業買収方針
三菱電機→中小企業も含めた設備投資が始まって工場向け自動生産設備が売れ、2015年3月期は営業利益、純利益ともに過去最高。2016年3月期も円安で自動車部品メーカーなどが国内で投資を増やすとみる

 8面にはNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社や、JXHD、出光興産、コスモ石油の石油元売り3社の決算のまとめ記事が載っているほか、9面にもたくさんの企業の決算の数字が並んでいます。9面には話題の企業のトピックス「決算から」もあり、今日は「健康志向に乗り最高益」(カルビー)、「外国人客 売り上げの2割」(セイコーHD)、「総菜充実 消費者つかむ」(いなげや)を取り上げています。

 志望企業については新聞記事だけでなく、企業ホームページのニュースリリースや投資家向け情報(IR=investor relations)にある決算報告にも目を通してみましょう。会社が発表した最新資料です。きっとエントリーシートや面接で使えるネタがたくさん詰まっていますよ。

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