2015年04月14日

スマホやめる?信大生やめる? 学長発言から考えるスマホの功罪

テーマ:就活

ニュースのポイント

 「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」と入学式で呼びかけた信州大・山沢清人学長のあいさつ(写真)が議論を呼んでいます。ネットを中心に「時代遅れ」などと非難する声、問題提起に理解を示す声などが飛び交っています。今日の朝日新聞にも賛否両論が載っています。こうした身近で正解がない話題は、グループディスカッションのテーマになったり、面接で聞かれたりするかもしれません。多様な意見に触れて自分の意見を鍛えましょう。(編集長・木之本敬介)

 今日取り上げるのは、オピニオン面(14面)の読者投稿欄「声」と、識者の意見を紹介する「WEBRONZA」のコーナーです。山沢学長のあいさつについて、3人の投稿と森永卓郎独協大教授の意見が載っています。要点は――
◆学長発言には、スマホに頼りすぎると自ら考えることを忘れてしまい、信大生でなくなるという危機感が込められている。スマホを少し置いて、学長発言を読み、自分で考えよう。(信州大4年生)
◆スマホは多くの若者の必需品。学長は最低限のマナーを言いたかったのだろうが、少し言い過ぎ。スマホの普及という時代の変化に柔軟に対応してほしい。(東京都の21歳大学生)
◆学長発言を評価する。スマホ依存症に向けての発言だ。依存症から抜け出すには離れることが必要。依存症でない人にも最低限のマナーがほしい。(神奈川県の78歳無職男性)
◆森永氏は、スマホの限界をわきまえて使おうと呼びかけた。スマホのニュースはヘッドラインだけが伝えられる。スマホだけに頼っていてはミスリードされかねないと指摘する。(WEBRONZA)

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 山沢学長あいさつのスマホに触れた部分を抜粋します。

 残念なことですが、昨今、この信州でもモノやサービスが溢れ始めました。その代表例は、携帯電話です。アニメやゲームなどいくらでも無為に時間を潰せる機会が増えています。スマホ依存症は知性、個性、独創性にとって毒以外の何物でもありません。スマホの「見慣れた世界」にいると、脳の取り込み情報は低下し、時間が速く過ぎ去ってしまいます。
 「スマホやめますか、それとも信大生やめますか」 スイッチを切って、本を読みましょう。友達と話をしましょう。そして、自分で考えることを習慣づけましょう。自分の持つ知識を総動員して、ものごとを根本から考え、全力で行動することが、独創性豊かな信大生を育てます。


 学長はスマホか信大生かの二者択一を求めた訳ではなく――時にはスマホを置いて本を読み、友だちと話し、自分で考えよう――と伝えたかったのでしょう。あえて刺激的な表現を使うことで、学生に考えてもらおうとしたのだと思います。

 発言は、おそらく学長の予想を超えて話題になりました。WEBRONZAだけでも他の意見が載っています。
◆「大学生活とスマートフォンの相性」(小原篤次・長崎県立大准教授)
◆「スマホを使いこなす叡智(えいち)を身に着けよう」(小此木潔・上智大教授)

 授業中にスマホ使用禁止とする大学がある一方で、学生への連絡をスマホ向けにする大学、スマホを使った授業をする教授もいるそうです。学生にスマホを手放せというのは現実的ではないでしょう。就活でも、会社説明会や面接の予約にはスマホが欠かせませんよね。そのうえで、自分がスマホとどう付き合うべきか、みなさんも考えてみてください。

 声欄には、毎日6本前後の読者の意見が載ります。他人の意見は、考えるためのヒントになります。いろんな意見を読むところから始めましょう。そのこと自体が、山沢学長の呼びかけに答えることにもなりそうです。

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