2015年01月15日

過去最大96.3兆円予算案 国の借金どうなる?

テーマ:政治

ニュースのポイント

 政府は2015年度の当初予算案を決めました。総額は96兆3420億円と過去最大です。予算案からは、いま日本が置かれている状況や課題が見えてきます。企業の業績が良くなって税収が増える見通しなのに、国の借金の総額は増えます。どうしてでしょう?

 今日取り上げるのは、1面の「新年度96.3兆円予算案 決定/社会保障増え 歳出最大/税収4.5兆円増 借金なお/公共事業・防衛費 3年連続増」です。2、3、4、6、7、14面に関連記事があります。
 記事の内容は――2015年度当初予算案では、税収は企業の業績改善で前年度より4.5兆円増の54.5兆円を見込み、新規国債の発行額は2014年度当初より4.4兆円減り6年ぶりに40兆円を下回る。借金に頼る割合は2014年度の43%から38%に下がる。ただ借金総額は増え続け、2015年度末の国と地方の長期債務残高は1035兆円と前年度末より26兆円増えると見込む。政府は、政策に使う予算を税収などで賄えるかをみる基礎的財政収支(PB=プライマリー・バランス)の赤字を国内総生産(GDP)比で2010年度から2015年度にかけて半減、2020年度に黒字化する目標を掲げる。この予算で半減目標は達成できる見通しだが、黒字化目標達成のメドはついていない。予算総額は3年連続で過去最大を更新。社会保障費が2014年度より3.3%増えたほか、公共事業費と防衛費も3年連続の増額となった。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 国の収入を表す「歳入」のグラフを見てください。税収とその他収入を合わせても約60兆円しかないのに、組んだ予算は96兆円超。この差額分は借金で埋め合わせます。国の借金が国債で、国が発行して金融機関や個人に買ってもらい、お金を返すときには利子も払います。一方、「歳出」のグラフにある「国債費」は過去の借金の返済で、予算の24%以上を占めています。借金を返すために新たな借金をしている構図です。国がいかに借金体質にあるかが一目でわかりますね。家計にたとえれば「火の車」。とても身の丈に合った暮らしをしているとは言えません。今回は税収が増えたぶん新たに借金する額は減りますが、高齢化で医療・介護などの社会保障費がふくらむことなどから借金総額は増えてしまうわけです。10%への消費増税が先送りされたことも影響しています。

 日本はどうして、こんな借金体質になってしまったのでしょうか。一つは、「失われた20年」と呼ばれる経済低迷期の間、景気を良くしようと公共事業などにお金をたくさん使ってきたためです。公共事業予算は今では一時期に比べるとかなり減りましたが、過去に積み上がった借金は返さなければなりません。

 国と地方の借金の総額は1000兆円超で、GDPに対する比率は205%と世界最悪レベル。国民1人あたり800万円の借金を背負っていることになります。社会保障費の伸びを抑えたり、多くの分野で節約したりしていかないと、いずれは国の財政が破綻(はたん)してしまいかねません。借金はみなさんたち若い世代やこれから生まれてくる世代への負担の先送りでもあります。予算案は国のあり方について考える良い機会です。消費増税、借金体質などについても考えてみてください。

 国の予算は、みなさんが目指すさまざまな業界にも大きな影響を与えます。介護・医療、子育て、公共事業、地方創生、防衛費など注目の予算が、志望業界にどう関わるのか、調べてみましょう。

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