あきのエンジェルルーム 略歴

2014年11月27日

「きょうは…」じゃなくて「たくさん会社休めます。」 ♡Vol.13

 いつも心にエンジェルを。

 「仮面エンジェル企業の見分け方 ♡Vol.9」(バックナンバーも読んでね)で、女性社員がゴロゴロいて、女性社員慣れした会社は、女性が働きやすい可能性が高い、という話を取り上げましたが、まさにそれを「証明」するようなエンジェル企業を発見しました。

 今回紹介するのは、「バラの包みの贈り物」の高島屋です。正社員5111人のうち2728人、有期雇用5063人のうち4231人、全従業員の実に68%が女性です(2014年2月末現在)。以前、紹介した昭和女子大学の「女子学生のためのホワイト企業ランキング」でも小売業の堂々1位に輝いています。1986年に育児休職制度・再雇用制度を導入、女性社員の勤続年数は約22年で業界トップ、平均勤続年数の男女差も0.5年とほとんどありません。
 何より全従業員平均の有給休暇(有休)取得率が70%台と高いのが3K職場(マスコミ)にいる者としては羨ましい~。厚生労働省「平成24年就労条件総合調査」では、従業員1000人以上の大企業平均で有休取得率は55%程度、30~99人の規模の小さい企業になると、さらに下がって42%程です。70%以上というのは、会社全体が休みやすい雰囲気でないと、なかなか達成できない数字です。

 高島屋は休暇制度そのものも充実しています。通常の週休2日以外に、年に2度の「10連休」と、3日程度ずつの「ミニ連休」が年2回、5年に1回、プラス4日間の「リフレッシュ休暇」が与えられます。さらに有給休暇が20日間(勤続6年以上から)あります。10連休と、有休をくっつけて2週間程度休む人も多いそうです。

 2007年以降、子どもの授業参観や運動会などに使える「スクールイベント休暇」や、単身赴任社員が一時帰宅のために取得できる「おかえりなさい休暇」などを導入し、有休を使いやすい環境を整えました。失効した有休を積み立てて、不妊治療やボランティアに使える「リザーブ休暇」という制度もあります。(上写真は日本橋店。百貨店としては日本で唯一、国の重要文化財に指定されています)
 どうして、こんなに休みが多いのか、人事部人事政策担当次長の高井圭太さん(写真右・左はローズちゃん)に聞きました。

「百貨店はお盆やお正月や祝日など、一般の人が休んでいるときが一番の繁忙期。また、店によっては20時半まで営業しているところもあり、家族サービスがなかなか難しい現実があります。その分、まとまったお休みでオンとオフの切り替えをして、リフレッシュしてほしいんです」

 とはいえ、1986年にはすでに育休制度が整っていたにもかかわらず、20年くらい前までは出産を機に退職する女性社員が多かったそう。高井さんによると、制度に社員の意識がついていかず、妊娠した女性社員自身が「産休、育休を取ったら、会社にとって迷惑なんじゃないか」という意識をもっていたといいます。
 潮目が変わったのは2006年、男女参画型企業として名乗りを挙げ、ガイドブックを作ったり、社内報に連載を始めたり、ワークライフバランスに本格的に取り組み始めたころです。制度だけではダメというのがよくわかりますね。
 
 「産休・育休」という「辞めなくていい制度」だけでなく、育休復帰後の社員の勤務パターンなど、「働き続けやすい制度」の充実を考えるようになった結果、1991年には6.2年だった女子社員の平均勤続年数が、2014年には22.3年まではね上がりました。

 現在、同社には、時短勤務だけでも大きく分けて四つのパターンがあります。1日5時間、6時間、6時間45分の中から、個人の都合に合わせて自由に労働時間をチョイスできます。こちらは年間労働時間に応じて給料は減額されます。
 「給料は減らしたくない」「でも、保育園の送り迎えなどがあるから早く帰りたい」という社員は、年間所定労働時間(1841時間)は出産前と同じで、休日数を減らし1日の労働時間を短縮するというパターンも選べます。有期雇用社員(時給換算のパート除く)にもほぼ同じ制度を適用しています。

 女性が働き続けやすくなったことで、経験を積み、管理職になる女性社員も増えています。女性管理職(部下をもつ課長職以上)は2014年3月時点で19.5%、2015年3月には20%を超える見込みです。高井さんの上司である人事部長も女性です。「上司が女性というのは、当社ではごく当たり前」と高井さん。2013年9月には、同社で初めて女性専務が誕生して話題になりました。
 高島屋は「イクメン」にやさしい会社でもあります。2007年から男性社員に有給で、2週間の育休を取得できる制度を導入しました。妻が専業主婦でも取得でき、勤続年数にも加算されます。導入した年に16人、2013年には26人が育休を取得しています。
 2週間は決して長くはないけれど、取得した男性社員には「家族の絆が深まった」「妻が『いい会社ね』と喜んでくれた」と好評のようです。
 
 さまざまな取り組みが評価されて、2011年度には厚生労働省の「均等・両立支援推進企業表彰」のグランプリにあたる厚生労働大臣最優良賞を受賞、2013年には経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれています。
 経済産業省がAPEC(アジア太平洋経済協力)地域における、女性の活躍が顕著な企業約50社を選んだ「APEC女性活躍推進企業50選」の1つにも選ばれています。日本企業で選ばれたのは高島屋を含め5社だけです。
 人事部の高井さんは言います。
「女性だけとか、育児している人だけ、介護している人だけ、正社員だけ、という福利厚生ではなく、働く人みんなが不公平感をもたない、多層的な福利厚生を目指しています。『コレ!』という目立った取り組みはありませんが、すぐに破綻するような制度でないことには自信があります」

 いやいや、十分目立ってますって!

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